駅南側の城下町に比べると、ものすごくスッキリしたエリアです。
海が見えるわけではありませんが、時々風に乗ってくる潮の香りやカモメの往来で海が近いことが分かります。
多くの人が集まるのは美術館もある富岩運河環水公園(通称カナルパーク)。立山連峰を臨む景色も良く、気持ちのいい場所です。
■豊かな時間を過ごす美術館■
前身は富山県立近代美術館。建物の老朽化に伴い、移転・再築。2017年8月に全面開館しました。
ガラス張りの正面側は全フロア立山連峰ビュー。
環水公園も目の前に広がる景色も堪能できる美術館です。
近現代美術とポスターや椅子などを収蔵品に持ち、「デザイン」を伝えることにも力を入れています。
美術館には珍しい屋上庭園やミュージアムショップ、カフェ、レストラン、図書コーナーなどお馴染みの施設もきっちりあり、1日過ごせるテーマパークさながらです。
展示室の監視員や係の方のユニフォームが三宅一生氏のプリーツプリーズで、2種類のデザインがありとても素敵!デザインもテーマにした美術館だけあり、ユニフォームにも気配りが感じられますね。
日本家屋と洋風家屋が同居している美術館。
品格なのか、雰囲気なのか、何か共通する部分があり、違和感のない佇まいになっています。
2000年に取り壊しの危機にあったこの建物を株式会社アイザックが買取り、修繕などした後2011年5月に美術館として開館しました。
家屋の部屋一つ一つが展示室。現代作家の陶芸や工芸を展示しています。
部屋のしつらえとして展示してあるもの、部屋を展示室に見立てて並べてあるもの、どちらにしても欄間や床の間などに見られる日本家屋の意匠とともに作品を鑑賞できるのが特徴です。
美術館の名前にもある「楽翠(らくすい)」とは「緑を楽しむ」こと。
庭園にある蔵の中も展示室になっていますので、移動する時に併せて庭園の散策も忘れずに。
ところでこちらの美術館、名古屋市にあります古川美術館とテイストがとても似ているのです!
もし、美術館を作るためのプロデューサーやコンサルタントがいるとしたら、同じ方が担当してるのでは?と勝手に想像してしまいました。
■お腹を満たす美味しいもの■
富山県美術館にありますカフェ。
1階にありながら立山連峰を臨むロケーションでカウンター席では食べながら眺めることができます。
こちらの美術館全体がそうであるように、カフェも白を基調にした明るい空間です。
この日頂いたのはベーグルプレート。こちらはベーグルが自慢のお店で、ローストビーフサンドやスモークサーモンのサンドなど、ボリュームのあるメニューもありますよ。
さて、ベーグルプレートはというと、1/4にカットされた違う味のベーグルを食べ比べられるのが嬉しい。
甘いデザート系とチーズなどの食事系が半々でした。
一般のベーグルに比べて肌理が細かいのが際立っています。
スープは生姜風味の野菜スープ。薬ではないけれど身体に良い食べ物=食薬=生姜ということで、富山らしさを感じる一品でした。
■ふらりと立ち寄った場所■
帰り際に乗りました路面電車から見えて気になり、行ってみました。
自動ドアを抜けてロビーに一歩入ると静寂な空間。
ホテルのロビーって美術館と似てるなと思いながら、窓際に設けてある展示スペースへ。
市内にある富山ガラス造形研究所の卒業生の作品が主でした。
こちらのホテルに限らず、市内の各所にガラス作品の展示がされていて、
「ガラスの街富山」という柱はもとより、ガラス作家を支援する体制が市をあげて整っているのではないかと好感を持ちました。
値段まではキャプションに書いていないものの、購入できる旨も明記されていましたしね。
美術館の展示室とは趣の異なった空間とライティングでガラスの透明感を存分に味わえました。
富山駅から5分かからない位近いので帰りの電車までの待ち時間で十分見られますよ。
下記の富山記事もどうぞ〜
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。