2016年5月より、館内施設の大規模改修で休館していた東京都現代美術館(東京都江東区)。
3年の時を経て2019年3月、リニューアルオープンしました。
現在はリニューアルオープン後、初の展覧会が開催中。お盆にかかり人もまばらな美術館をじっくり堪能してきました。
変わったところ、変わらないところ。
変わったところはレストラン。
居抜きで使っているので雰囲気はそのままなのですが、お店が変わったため、メニューや店員さんが当然変わりました。
特に接客がとても感じが良くて嬉しいですね。
今回は生クリームたっぷりティラミスとコーヒーでお茶をしましたが、機会を作って食事も是非してみたいですね。
ちなみにレストラン「100本のスプーン」は都内二子玉川にも同様のお店がありますよ。
変わらないところは、広々とした展示室含めた館内全体。
相変わらず贅沢に空間がとってあります。
以前は持て余している感じも受けたのですが、椅子の配置が増えたのか無駄に広い感じはなくなりましたね。
今見られる展覧会は3つ。
企画展の「あそびのじかん」、コレクション展の「ただいま/はじめまして」そして無料で見ることができる「ひろがる地図」展です。
簡単に説明すると「あそびのじかん」は体感型のインスタレーション。親子で楽しめる作品が多いので夏休みの子供向け企画とも言えますね。
「ただいま/はじめまして」こちらは館の収蔵品から選ばれた作品の展示。もともと収蔵していた作品を指して「ただいま」、新収蔵品を指して「はじめまして」と新旧の作品を選んでの展示です。
「ひろがる地図」は少し特殊で、美術ではなく、町おこしのような要素の企画です。
私は初めて知ったのですが、前から続いている活動のようで、「美術館とまちをつなげ、まちの魅力を掘り起こすシリーズ」とのこと。
地図を街を知ることに使うだけでなく、個々人の歩んできた人生の記憶や、街の歴史を繋げる「道具」として使っている感じが面白かったですね。
私がハマった「ことば」を使った「あそびのじかん」
久しぶりだったこともあり、展示を注意深く見ながら、
館内をボーッと眺めながら、
カフェでお茶をしながら、
3時間近く「美術館であそんだ」中で、非常にハマった展示が2つありました。
2つとも「ことば」を使ったものです。
・企画展「あそびのじかん」内の「ポジティブな呪いのつみき」(トルタ)
・「ひろがる地図」内の「演劇クエスト」(おらんこそん+しんじはるか)
「ポジティブな呪いのつみき」
写真を見て下さい。こんな感じです。
積み木に見立てた紙で作られた四角柱の各面に、いろいろと文章が書いてあるのです。
それを作為、無作為に組み合わせることで、
意味ありげだったり、
空恐ろしかあったり、
かなり素敵だったりする文章ができあがるのです。
自分で組み合わせるのもいいけれど、
人が作って置いていったのを見たり、それに付け加えるのも面白いですよ。
「演劇クエスト」
演劇クエストとは横浜を拠点とするアーティスト/批評家の藤原ちからさんが作られたもの。
「冒険の書」という本を片手に、自身がそこに書かれた物語の登場人物となって、作中の選択肢を頼りにしながら実際に街を歩き回るというロールプレイングゲームです。
今回は美術館とその周辺が舞台となって「冒険の書」が作られています。
ショップや展示室など館内を回るようにできているのですが、選択肢がよくできているのでしょう。
よく知っている館内なのに、初めてきたような、不思議な感覚を覚えます。
見慣れた日常が非日常になる、そんな力をもったゲームです。
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そうそう、変わったところと言えば美術館の周辺。
私は都営新宿線「菊川駅」から歩いて行ったのですが、まぁ、3年来ないうちに高層マンションがニョキニョキっといくつか建ち、周辺に飲食店を中心にお店も増えたように感じました。
特に「清澄白河駅」方面は街歩きをしてみる価値がありそうです。
もちろん「演劇クエスト」片手にね。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。