「松方コレクション展」がクローズアップされている国立西洋美術館ですが、常設展もお忘れなく。
こちらの美術館は松方コレクションを展示するために作られたので、今回企画展に展示されない作品も見られますし、松方コレクション以外の収蔵され続けている作品も随時お披露目されています。
今、特に紹介したいのは常設展の一部として小企画のような位置付けの「モダンウーマンーフィンランド美術を彩った女性芸術家たち」。
女性の美術教育という点で、私は興味を持って見てきました。
国内の美術学校といえば東京藝術大学が筆頭に上がりますが、女性が入学できるようになったのは1946年。
それよりも前に、女子美術大学が1900年に設立していますが、どちらにしても国内で女性が職業として芸術家になるために学校に行けるようになったのは20世紀に入ってからです。
一方フィンランドでは、19世紀半ばに設立した最初の美術学校に、女性も入学することができました。
これは当時のヨーロッパでも珍しいことだったようです。
ですが、単純にフィンランドに、男女平等の思想があったという話ではなさそうです。
フィンランドの歴史をザッと見てみると、大国ロシアと早くから国として成立していたスウェーデンに挟まれていた為、良くも悪くも影響を受け、翻弄されるような時代が続きました。
1917年に独立宣言をするも、労働者階級の反対に合い、国としてまとまるためにはまだ時間を要したのです。
そんな社会情勢の下、男性だ女性だなどと言っている場合ではなく、誰もが自分たちの国を安定させ、良い生活を送れるように働いた。
よって美術の分野でも女性に門戸が開かれていたのではないでしょうか。
そんな時代に美術を学び、活躍した7人の女性たちの作品が並びます。
歴史の重さとは対照的とも見える、明るい色彩で描かれた作品も多いので、展示室で爽やかな空気を感じてみましょう。
常設展は通常500円。毎月第2、第4土曜日は無料という大盤振る舞いです。
選挙カー並みに何度でも言いますよ〜。
国立西洋美術館の「常設展」、国立西洋美術館の「常設展」をどうぞお忘れなく!
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。