和食といえば目にも舌にも、季節を満喫できる品々が味わえるもの。
山種美術館と言えば、収蔵品を駆使して季節感のある企画展を開催することが多い美術館。
このふたつの組み合わせ、私とても気に入っています。
なぜなら、「季節感」を通してお互いの良さを増幅しているから。
美術館が先でもランチが先でもどちらでもOKですよ。
昼も夜もきちんとした和食が普段着で楽しめるところが一番のポイントかな。
こじんまりとして居心地がよく、清潔感あふれる店内です。
運良く空いていればカウンターかテーブルを選べます。
カウンターは店主と話ができたり、作っている様子を拝見できたりとテーブル席にはない良さもありますよね。
私がこのお店を知ったのは、器を通して。
こちらで使用している一部が栃木県益子のチモイ窯、青木瑞晃さんが焼かれた器なのです。
その他にも店主の五十嵐さんが選ばれた器が、四季に合わせてお料理とともに供されるのも楽しみなところ。
写真の筍の器なんて、可愛らしいですよね。
蓋を明けた瞬間、歓声があがりますよ!
器の中には、ははまぐりの旨味がたっぷりの出汁に季節の山菜が煮浸しになっている一品。
鮮やかな緑色がなんて綺麗なのでしょう。
美術館で見てきたばかりの、岩絵の具の緑青のようです。
こんな感じでね。
コースが進むごとに、美術館で見てきた作品、色、描かれたモチーフと重なってくるのです。
豊かな食事の時間です。
ランチのコースでも締めの炊き込みごはんは夜と同じように3〜4種類から選べるのも嬉しいところ。
もちろん昼夜ともに予約はお忘れなく。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。