作品リストがグレードアップ 読み物レベルの冊子になりつつある理由

展覧会の入り口付近に置いてある、作品リスト。

無料で貰えるものなので、企画展のチラシと共に、資料として忘れずに貰うのが習慣です。

最近作品リストがグレードアップしてきたと感じているので、その理由を考えてみました。

もくじ

  • 作品リストがグレードアップした理由
  • 作品リストとは
  • グレードアップした作品リストの紹介
  • withコロナ・afterコロナと美術館

作品リストがグレードアップした理由

作品リストが豪華になった。

と、最近思うことが何度かありました。

考えられる理由はただ一つ。

コロナ禍でギャラリートークやアーティスト・トークだけでなく、

講堂などでのレクチャーも、ここ1年開催を控えているせいだと思います。

学芸員や作家自身が、直接来館者に説明ができない機会損失を、少しでも埋めようという

美術館側の努力、気遣い、

そして私のように楽しみに展覧会に足を運ぶ鑑賞者に、

少しでも伝えたいという、気持ちの現れだと受け止めています。

作品リストとは

作品リストとはその名の通り、展覧会に展示されている作品の詳細が書かれたリストのこと。

作品リスト

例えば絵画の場合だと、

タイトル、作家名、材料(岩絵具、油彩、ミクストメディア、など)と

何の上に描かれているのかを表す支持体名(麻布、絹、板、ガラスなど)、

サイズ、所蔵元、製作年などで構成されています。

リストは展示の順番通りとは限らず、

前期・後期などで、作品の入れ替えがある場合は、

期間を通して展示されるすべての作品が記載されています。

ですので、行った日に展示されていない作品があることも。

プラス、展覧会場の見取り図がつく場合もあります。

形状は、作品数によって変わりますが、

A4版で両面印刷や、A3版の見開きなどが多く、

コピー用紙のような質の紙に印刷されています。

グレードアップした作品リストの紹介

図録までいかなくとも、最近貰ってきた読み物レベルの冊子のような作品リストを2つご紹介しましょう。

まずは、東京都庭園美術館。

東京都庭園美術館 作品リスト 帰宅してから目を通すと展示がよみがえる位に見応えアリ

つぎに、町田市立国際版画美術館。

町田市立国際版画美術館 作品リストが小冊子に 光沢紙に作品がカラー印刷された豪華版

withコロナ・afterコロナと美術館

コロナウィルス感染拡大防止の観点から、美術館もこの1年、さまざまな活動を制約されています。

個人的には美術館は、その場の特性上、クラスターや感染拡大を引き起こすような状態は起こりにくいと考えますが、

開けていると来館者が来るので、人の行動を制限するために

特に東京都や周辺の県では、政府や都の方針に従って臨時休館を繰り返してきました。

そんな制限の中から、

リアルで開催できない作品説明の機会を、埋めるために生まれたであろう

「作品リストのグレードアップ化」。

展示室の様子を思い出すのにも役に立ち、

展覧会の振返りに非常に役に立つ資料になっています。

東京都では緊急事態宣言の延長が確実となり(2021.5.8現在)、

都内の美術館は、5/31日まで休館が延長されることと思います。

この間にまた終了してしまう企画展がいくつかあり、残念な限りですが、

鑑賞者としての私だけでなく、企画展を作る美術館の学芸員も同じくらい残念な気持ちでしょう。

先の見えないwithコロナ・afterコロナの時代に、

美術館と鑑賞者の関係はどう変わっていくのか、

私はどう関わっていくのかを考える、今日このごろです。

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