今年は梅の開花が遅れ気味だそうですが
早咲きの桜とともに、梅の開花の報道も
耳にします。
そんな時期にあわせて
梅をモチーフにした絵画を
ポストカードでご紹介しましょう。
手持ちのポストカードの中から
今回は5枚、選んでみました。
梅がモチーフの絵画5選 横山大観からエゴン・シーレまで

直近で見た作品。実際は掛け軸に仕立てられています。
枝ぶりがボケのようにも見えます。
とても品のある花の色合いが印象的で選びました。

こちらは実際見たこともある湯河原梅林の景色。
実景というよりも、満開時の梅林を見た時の
「うわぁ!!!!綺麗・・・」
という感動を表しているのだと思っています。
後方に描かれた山の様子から、夜の梅林のようにも
思われ、神秘的な雰囲気も良いですね。

絵画ではなく、竹久夢二のデザインした梅を
東京はいばらで採用し印刷したものだったと思います。
鮮やかな色とともに、
切り絵とか版画を思わせる
白抜きの大胆な幹や枝ぶりが印象的。

青緑色のウメノキゴケが、幹に趣を与えています。
枝ぶりの躍動感に惹かれます。

上に向いた枝ぶりが梅の木のように見えて選んだ作品。
作者であるエゴン・シーレ(1890- 1918)が生活していた
オーストリアに
梅があったのかどうかも分かりませんが、
梅の木に「見立てて」見てみるのも面白いと思うのです。
まとめ:さまざまに表現される「梅」
5つの作品でさまざまに表現された
「梅」を見てきました。
その「さまざま」がどのようなものか
3つにまとめました。
①「梅」という一つのモチーフでも
作者によって取り上げる部分が違う
梅林のように全体なのか
幹や花といった部分なのか。
②写実的に描かれたものと
抽象化されたもの
比較的見たままの状態を描いた作品と
シンプルに本質を形にしたり、
デフォルメされたものの違い。
③鑑賞者の「見立て」や「解釈」による
独自の見え方
作者の意図や美術史的な文脈とは別に
鑑賞者が独自に感じるもの。
特に③の独自の視点は、
大切にしたいと思っているところです。

牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。