ポストカードで絵画鑑賞 クルクル回すことで動きや違和感を楽しもう

ある日、奥村土牛のポストカードを見ながら
絵の向きに違和感を持ちました。

クルクル回して見てみたら、
具象画なのに抽象画のように見えてくる!

そんな面白さをお伝えできればと、
今回は絵画の向きについて、書いてみました。

奥村土牛「茶室」 具象画なのに抽象画みたいに見えてくる

ポストカードをクルクル回すきっかけになった1枚。

奥村土牛「茶室」(山種美術館 蔵)です。

奥村土牛

こちらが正しい向き。

でも、私は空間がゆがんでいるように見えて
違和感を持ちました。

茶室に馴染みがないため、
造りをよく知らないせいかもしれません。

奥村土牛

右に90度回してみます。
どのみち違和感があるので、これはこれでイケる向きかも。

奥村土牛

さらに右へ90度。

奥村土牛

さらに右へ90度。

奥村土牛

正しい向きに戻しました。

「茶室」という具体的な空間を書いていながら
抽象度が高い絵なのかもしれない、ということが分かりました。

福田平八郎「鮎」 鮎がいきいきと動き出す

福田平八郎「鮎」(山種美術館 蔵)

福田平八郎

こちらが正しい向き。

右端の上にいるツヤ感のある鮎に
動きを感じます。

福田平八郎

右に90度回してみます。

上の方に描かれた鮎たちが
上に向かったり、下に向かったりと
動きが出てきたように見えます。

福田平八郎

さらに右へ90度。

左端のツヤ感のある鮎と、その上にいる鮎の動きが
引き立つ向きですね。

福田平八郎

さらに右へ90度。

それぞれの魚たちに動きは感じるのですが
絵としてのまとまりがなくなってきたようにも
見えます。

福田平八郎

正しい向きに戻しました。

それぞれの向きで、動きが違って見えるところが
面白さかな。

向井潤吉「春映」 のどかな風景が意味深な心象画になる

向井潤吉「春映」
世田谷美術館分館・向井潤吉アトリエ館 蔵)

岩手県上閉伊郡(かみへいぐん)宮守村の風景を
描いているそうです。

向井潤吉

こちらが正しい向き。

茅葺き屋根の民家に、桜でしょうか
ピンク色の花が咲く木が描かれています。

背景の山も、淡いピンク色で春を感じます。

向井潤吉

右に90度回してみます。

一気に抽象的になってしまったようにも
見えます。

向井潤吉

さらに右へ90度。
私はこの向きも好きですね。

鏡のようにお互いを映していて、
はっきりしている健在意識と
ぼんやりしている潜在意識、
みたいに感じています。

心象画を見ているようです。

向井潤吉

さらに右へ90度

向井潤吉

正しい向きに戻しました。

ピート・モンドリアン「大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のコンポジション」赤い部分の位置が好き嫌いのポイント

ピート・モンドリアン
「大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のコンポジション」
デン・ハーグ美術館 蔵)

ピート・モンドリアン

こちらが正しい向き。

向きによる見え方が、変わりにくい作品に思えますが
さて、どうでしょうか。

ピート・モンドリアン

まずは、右に90度回してみます。

私はこの向きと正しい向きの見え方に
安定感を感じるので、しっくりきます。

ピート・モンドリアン

さらに右へ90度

ピート・モンドリアン

さらに右へ90度

ピート・モンドリアン

正しい向きに戻しました。

この絵に関しては、インパクトのある
赤い正方形部分の位置が
ポイントだと思っています。

赤い正方形がどの位置にあると
安定してしっくり見えるかが
人によって変わると思うからです。

何人かで一緒に見ると
人それぞれ、好みや感覚の違いが
よく分かるかもしれませんね。

上村松園「初雪」 向きが変わっても変わらないキリリと締まった端正な表情

上村松園「初雪」(上原美術館 蔵)

背景に雪がいくつかチラッと描かれているものの
広い空間がある構図の作品。

さぁ、回して見たらどう見えるでしょうか。

上村松園

こちらが正しい向き。

上村松園

右に90度回してみます。

この角度は、正しい向きよりも
女性の顔の表情が少しキツく見えますね。

個人的には、面白みのある構図に見えますので
この向きで額に入れて飾るのも
いいなと思っています。

上村松園

さらに右へ90度

女性の表情が、4つの中で一番キツく見えます。

上村松園

さらに右へ90度

この向きも好きです。

上村松園

正しい向きに戻しました。

この向きは、女性の表情が
一番柔らかく見えます。

各向きにより
見え方は変わりますが

上村松園が描く女性の、
柔らかさの中にある
キリリと締まった表情は、
変わらないことが分かりました。

*****

くるくる回して、上下左右、自由自在に見る。

美術館の展示室では叶わないことですが、
お手元のポストカードで試してみましょう。

そして、動きや違和感に
面白さを感じてみてくださいね。

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