豊島の影/一観光客の私では気づけなかった島の歴史

2020年6月5日付の朝日新聞(夕刊)で目にした記事。

「豊島の浄化なお途上」という記事に驚き、こころの片隅がチクリと痛んだ。

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昨年秋に瀬戸内国際芸術祭で、初めて瀬戸内の島々へ行き、

豊島は宿泊こそしなかったものの、

美術館の既成概念を覆す、豊島美術館をはじめ、

どこからでも海が見えて、バスで移動した島の各所は美しく、のんびりとした景色が広がり、落ち着く、緩む自分を感じていたものでした。

斬新な美術館とのんびりした雰囲気。

振り幅が大きい、魅力ある島だと今でも強く印象に残っています。

この島が現在に至るまで45年もの間、産業廃棄物の不法投棄で苦しんでいたなんて。

有害産廃処理場ができ、1975年から産廃業者の汚泥処理がはじまるも、その後許可された産廃物以外のものも次々と不法投棄されたそう。

一体、私が見たあの美しい島のどこに、ゴミの山があったのだろう。

豊島

2003年から産廃物の撤去がはじまるも、現在でもまだ地下水の浄化作業が続き、土地はもとの持ち主である住民への引き渡し目処も立っていないという。

第1回目の瀬戸内国際芸術祭は2010年に開催。

その構想が持ち上がったさらに10年ほど前までは、「豊島の魚は食べられない」などの風評被害もあったという。

初めて行く場所だったので、歴史を含めて、島のすべてを知ることは不可能だ。

初めて行く土地への高揚感でいっぱいだから、芸術祭、観光以外のところに目を向けるのは難しい。

あらためて去年の芸術祭ガイドブックを見てみると、豊島のところに産廃の不法投棄のことが少し書いてあった。

他の島はどうだろう?

概ね農村歌舞伎や、鬼ヶ島伝説といった文化的かつ牧歌的なエピソードとともに紹介されていたが、

犬島のかつて栄えていた精錬所の話や、

大島のハンセン病患者の療養所があった歴史などは、豊島と同様、事実を掘り下げて知っておきたいと思った。

奇遇なことに、この新聞記事を読んでいて、芸術祭の舞台となった島々のことを考えていた矢先、昨年行った仲間の一人から連絡が来た。

「直島に宿泊できるオススメプランがある」と。

芸術祭ではない、普段の島々を、今年は自分なりの視点で見てきたい。

なんて奇遇な、そしていい流れなのだろう。

こういうタイミングは大事にしないとね。

豊島

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