諏訪敦展 眼窩裏の火事 府中市美術館 空間を生かした展示で 圧巻の写実絵画を堪能する

「これはなんて読むのですか?」

展示室で監視員に
質問されている方を
数人見かけました。

「眼窩裏の火事」
インパクトのあるサブタイトルと共に
圧巻の写実絵画を堪能してきました。

明日、2/26日まで開催です。

インパクトのあるサブタイトル「眼窩裏の火事」

「眼窩裏の火事」は「がんかうらのかじ」と読みます。

展示室で数人の方が、「これは何と読むのですか?」
と監視員に聞いているのを耳にしました。

分かります。

ふりがなを振っておいて欲しかったですね。

私も最初にパンフレットを観た時に
すぐに読めなくて調べましたから。笑

個人的にはとっつきにくく、
分かりにくいサブタイトルだなと感じていますが、
展示を観てこんな風に解釈することにしました。

眼窩とは、目玉が収まっている
頭蓋骨のくぼんでいるところ。

目で見えていないけれど、
人や物質に内包されているものを描く。

その行為を「火事」と
比喩的に使っているのではないか。

加えて、描き手である
諏訪淳(すわ・あつし)さんは、
閃輝暗点(せんきあんてん)という
症状をお持ちです。

根を詰めて長時間制作をしている時などに
発症することがあるようで、

その症状が出た時の様子は
銀色の冷たい炎のような形で、
作品に描かれています。

炎のようなものが見える、
その様子を「火事」と表現している
可能性もあります。

描き続ける限りその人が立ち去る事はない

諏訪さんは亡くなった方の肖像画を
依頼されて描かれることもあるそうですが、

描き続ける限りその人が立ち去る事はない、

という言葉にたどり着いたそうです。

遺影でもなく、とりすました写真でもなく、

いつも通りに亡くなった人が
家のリビングにいるような

展示されている作品からは、
そんな雰囲気が感じとれます。

諏訪さんに描いてもらった我が子の絵を
両親や親しい人の絵が、家に飾られている限り

亡くなった人がいつでもそこに
いるような感覚を持てると思います。

キャプションが無い、スッキリとした展示が心地よい

この展覧会は、全体的に作品数が少なく
空間をとても贅沢につかった展示です。

キャプションもほぼない状態なので
非常にスッキリとした、心地よい
展示空間になっています。

自分の中にもスペースがたっぷりあり、
ゆったりとした気分で作品に向き合う。

そんな鑑賞時間が持てました。

物理的にも、心理的にも
スペースが有る状態からは
余裕が生まれます。

余裕は作品が入ってくるスペース。

この作品は好きだな
あまり好きではないな

諏訪敦展 眼窩裏の火事 府中市美術館

グラスが綺麗だな
とても薄いガラスでできているな

諏訪敦展 眼窩裏の火事 府中市美術館

イカの目って、こんなに意志を感じる
ものだっけ?

いろいろな感想や、問いかけが
自分の中に生まれてきます。

特に静物画の展示コーナーは
照明を落としてあり、木の台座に
作品がのせてあります。

木々が生い茂って薄暗い
「静物画の森」の中に
作品が浮かび上がっているようで
幻想的でもありました。

展示空間が楽しめる展覧会は
心地よくリラックスできて
いいですね。

***

府中市美術館正面入口付近で、撮影されたと思われる
諏訪敦さんの動画。

山田五郎さん所蔵の作品も展示されていました。

美術館情報

府中市美術館

東京都府中市浅間町1−3
開館時間:10:00〜17:00
(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日

諏訪敦展は2023年2月26日(日)まで開催です。

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