ギリギリの記事投稿で、申し訳ございませんっ。
会期は2020/8/24までですので、ご興味湧いた方は、ダッシュ!
もくじ
- 「日本博」に連携した展覧会
- 時空を超えるとは
- 現代に通じる古典を感じたポイント
- 美術館情報
「日本博」に連携した展覧会
日本博とは、今年開催予定でした東京オリンピック・パラリンピックに関連した文化事業。
文化庁が中心となり、「日本人と自然」というテーマで全国を舞台に、伝統文化などを国内外にむけて発信するプログラムです。
美術館や博物館でも関連した企画がいくつかありましたが、Covid-19 の感染拡大防止策で臨時休館が続き、中止となった展覧会もありました。
伝統や昔々の感性が、どう現在に息づいているのか分かることは興味深いので、この展覧会、楽しみにしていたのです。
時空を超えるとは
「時空を超える」と聞くと、まず私が思い出すのが琳派の画家たちです。
以前、琳派の展覧会を見に行った時に、狩野派のような形で、琳派という画派があるのかと思っていたところ、
これは昭和になってから、専門家が便宜上つけた名前であって、琳派という画派は存在しないことを知りました。
琳派という言葉で括られた画家たちは、「私淑」という状態で繋がっているのです。
琳派の祖は江戸時代初期に活躍した俵屋宗達、その100年後に尾形光琳が、そのまた100年後に酒井抱一が活躍します。
100年も間があくと、お互いが顔を合わせることもなく、師弟関係は成立しません。
宗達の作品を見た光琳が、宗達と光琳の作品を見た抱一が、それぞれの感性によって、独自に作品へと昇華させていったのです。
今は亡き人を師とし、自身の感性や哲学などによって、形にしていく。
時空を超えて教えを受ける「私淑」は、素晴らしい学びの方法の一つだと琳派を通して感じています。
今回の展覧会でも、現代の作家と、江戸時代以前の、遠い昔に生きた作家とのコラボレーションで、
意図的に、あるいは思いがけず、共通したセンスを体感できる瞬間がいくつもあり、それが展覧会の魅力になっています。
現代に通じる古典を感じたポイント
最後に、私がハマった現代作家と古の作家のコラボレーションを具体的に書きましょう。
尾形乾山☓皆川明
陶芸とテキスタイルという違いはあれど、モチーフを自然から貰っているという点がはげしく共通していました。同じ展示室に並べて展示すると、こういう感覚がよく分かるのです。
円空☓棚田康司
木を素材として使うところが共通点。意識レベルにまで、スーッと入り込んでくる感覚が両者の作品にはあると感じます。
仙厓☓菅木志雄
水墨画と石や鉄、木などを使ったインスタレーションと手法が違えど、お二人とも、非常に抽象度が高い作品です。「空間を読むのだ!」と問われているよう。
葛飾北斎☓しりあがり寿
今回一番面白くてハマったコラボレーション。破天荒な人生で有名な葛飾北斎の「富嶽三十六景」を、しりあがりさんが独自にアレンジして「クスッ」と笑える作品に仕上げています。北斎はきっと怒らないだろうし、もっと笑えるものを描いてみよう、と悪ノリしつつ真剣に、しりあがありさんの作品に挑みそうな気がしてなりません。
美術館情報
国立新美術館
東京都港区六本木7−22−2
開館時間:10:00〜18:00
(入館は閉館の30分前まで)
休館日:火曜日
古典☓現代2020は2020/8/24(月)まで開催です。
* アフターコロナで美術館の入館ルールが新しくなっています。
事前予約等が必要な施設もありますので、美術館ホームページで
確認してから、お出かけしましょう。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。