帰ってきた江戸絵画。プライスコレクションの一部が出光美術館の収蔵品に。

Facebookで友達がシェアしていた記事で知り、これはこれは!と驚き。

アメリカ人のジョー&悦子プライス夫妻の、コレクションが一部、出光美術館の収蔵品となりました。

・続々と帰ってくる絵画たち。
・コレクターのジョー・プライス氏とは。
・復興支援で来日していた、プライスコレクション。

3つのパートで、語ります。

続々と帰ってくる絵画たち。

ご夫妻のコレクションは、ロサンゼルス・カウンティ美術館に収められていると聞いていましたが、それは一部。

プライス氏が高齢(89歳)ということもあり、作品の収蔵先を探していたそうです。

散逸を防ぐため、一括購入を希望する氏の意向を受けて、クリスティーズを通して出光美術館が190点を一括購入しました。(購入額は非公開)

主要新聞各社も記事にしています。

朝日新聞(2019/6/25)
毎日新聞(2019/6/24)
日本経済新聞(2019/6/25)

美術館側では特に発表はありませんが、来年2020年秋に、お披露目の展覧会がある予定ですので、こちらを待ちましょう。

最近知るところでは他に2件、日本に帰ってきた絵画たちがあります。

千葉市美術館にて、マネジメントの父、ピーター・F・ドラッカーのコレクション(室町時代の水墨画を主としたコレクション)が収蔵品になったもの。

国内企業が購入し、美術館に受託しています。

もう1件は国立西洋美術館で只今見ることができるクロード・モネの「睡蓮 柳の反映」。

松方コレクションの一部でしたが、長らく行方不明でした。

2016年にパリのルーブル美術館で発見され、寄贈という形で日本に帰ってきたのです。

コレクターのジョー・プライス氏とは。

1929年アメリカ・オクラホマ州生まれ。

父親が設立した石油パイプラインの製造を手がける会社でプライス家は財を成します。

大学卒業の時にニューヨークの画廊で買い求めた「葡萄図」がコレクションの始まり。後に伊藤若冲の作であることが分かります。

父親の会社で働きながらもコレクションを続けたのち、作品を収蔵・研究する施設を自宅とロサンゼルス・カウンティ美術館に併設する日本館「心遠館」を作り館長も勤める、美術蒐集家です。

福島県立美術館_プライスコレクション

復興支援で来日していた、プライスコレクション。

2013年9月。私は福島県立美術館を訪ねました。

目的はこの展覧会を見るためです。

東日本大震災復興支援の特別展
「若冲が来てくれましたープライスコレクション江戸絵画の美と生命」

仙台、盛岡と巡回し、最後の福島。

プライスコレクション復興支援の旅、最後の美術館でした。

プライス氏が当時83歳と高齢のこともあり、ご本人の来日も含めて、日本への最後の里帰りでは?とも言われていたことも福島へ行く後押しになりました。

2011年3月11日の震災の時、ロサンゼルスの自宅で津波や被災の様子をテレビでご覧になっていたご夫妻は大きな衝撃を受け、自分たちの所蔵している作品が被災地の方々の心の支えになればと、無償で作品を提供し展覧会が実現したのです。

入館料800円(高校生以下は無料)を含むすべての収益は震災の復興に充てられました。

来日し、テレビや新聞をはじめとするメディアにも多く取り上げられたので、ご夫妻の記事を目にされた方もいるのではないでしょうか。

カタログの構成や作品の選別といった、企画にも関わったご夫妻の心意気を感じる展覧会でした。

震災後の一時期は海外の美術館が日本への作品の貸出を止めてしまい、いくつかの展覧会は変更を余儀なくされていました。

度重なる余震や東日本地域は放射能による、作品への影響が懸念されたからです。

そのような状況で来日したプライスコレクション。

絵師が有名とか、一般的な評価が定まっているということではなく、自分が良いと思った作品を購入すること。

自身の審美眼を頼りに蒐集を行ったように、自らの意思で、作品を日本へ貸出すことを決められたのだろうと感動したものです。

出光美術館がプライス・コレクション安住の地となり、美術館と作品がお互いを高め合えるような関係になってほしいと思います。

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