2020年12月で閉館が決まっている、東京都品川区にあります原美術館。
来年の12月ですから、もう少し先ですが、閉館までの間は意識的に行こうと思っています。
幸い群馬県渋川市にある別館、ハラミュージアムアークに美術館機能は移転するため、収蔵品は今まで通りに見られるものの、原家の邸宅としても使われていた、現在の個性豊かな建物で見ることはできなくなるでしょう。
品川まで行く日がありましたので、これは幸いと、まずは行ってきました。
原美術館のある御殿山は、歴史のある地域。
桜の名所で、徳川家康が江戸城に入城してからは、鷹狩の休憩所や茶会の場としても使われたり、関東閣という旧三菱財閥の岩崎邸高輪別邸もあり、現在は三菱グループの倶楽部として使われている広大なお屋敷もあります。
明治期は、富裕層の自宅が多くある地域でもありました。
現在も、原邸をはじめ、敷地が広く、塀で囲まれて外からは見えないような邸宅もある一方、
普通の住宅も混ざっているので、生活レベルやライフスタイルも様々な住人がいるのかもしれませんね。
この日は雨が降っていて品川駅から美術館までの徒歩15分はちょっと不快でした。
風もあったため、思いのほか濡れたのです。
でも私はバスはおろか、タクシーに乗ることを全く思いつきませんでした。
私にとってタクシーは、電車やバスがない時、特に夜に乗るもので、昼間に使う感覚がないのと、
原美術館は「いつも」品川駅から「徒歩」で行くので、自動的に体が動いてしまったようです。
なんでこんな駅から離れたところが良い住宅地なんだろう?
と思ったりしましたが、
この住宅地に住む方々は電車をはじめ、公共の交通機関はあまり使わないのかもしれません。
マイカー(運転手付きも含む)やタクシー、ハイヤー、を使うのかも。
そうなると駅は不特定多数の人が使うし、飲食店やコンビニなどでごちゃごちゃするし、環境が良くないということでしょうか。
ライフスタイルやそれに伴う考え方の違いですね。
実はこの日に品川に行ったのは、不動産セミナーを聴講するため。
海外のランドバンキングの話なども出て、驚きながらも、なるほどなぁと面白く話を聞いていたのです。
馬をペットで飼うようなライフスタイル、
ダウンタウンの高層マンションになんて、住みたくもなくて、郊外の広い戸建でで自然を感じて暮らすことに価値を感じる人。
通勤は車で、高速道路を使えば30分位だし、人によっては飛行機で隣の州まで通勤ということもあるらしく、それこそ電車で通勤という概念すらないかもしれない人々。
ここに住みたい人たちはどんなライフスタイルを持っているのか、持ちたいのか、
ある人が便利だと思っても、ある人には全く魅力がなかったり。
文化や国の差こそあれ、人によって大切なもの、条件の優先順位は様々なのだと、あらためて実感したのでした。
次回、雨降りで、駅から離れた場所に行くときは、「タクシーを使う」という選択肢が自分で気づけるといいなぁ。
いつもとちょっと違う方法を試すことは、自分の世界が広がることだと思うので。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。