東京駅・丸の内北口/東京ステーションギャラリー/神田日勝・大地への筆触展/独自のスタイルを確立するには、短すぎる時間だと感じた画家の人生。

コロナ渦以降、特に都内では、日時指定の予約が必要な美術館が増えましたが、こちらの美術館もその一つ。

ローソンチケットで予約し、発券して行くスタイルで手間がかかりますが、展示室には多くの人がいました。

私も含めて、みなさん楽しみにしていたのですね。

東京ステーションギャラリー

もくじ

  • 愛情を感じる牛の絵・馬の絵
  • 独自のスタイルを確立するには、短すぎた時間だと感じた画家の人生
  • 美術館情報

愛情を感じる牛の絵・馬の絵

写真は購入した絵葉書。

東京ステーションギャラリー

私の中で神田日勝と言えば、この未完成の絶筆「馬」です。

実を言えば、この絵位しか知らなかったと言い切れる位に、知らない画家でした。

今回さまざまな作品を見ましたが、

農家でもあった画家の日常生活に密着した、牛と馬の絵は良かった!

毛並みがいいんですよね。

フワフワ、モワモワした質感、「動物の毛」を感じる感触まで伝わってくるのです。

でも見た作品のほとんどが、死んだ牛や馬が描かれたもの。

それでも怖くないし、気持ち悪くもないし、一つの生命体として、非常に愛情を感じたのです。

馬は農耕馬なので、競走馬のような細身のしなやかな体型ではなく、胴体も足もがっちりとした逞しさがあります。

そんな逞しさを強調するかのように、たいていの馬はキャンバスいっぱいに描かれています。

おっとりした優しい眼をした馬たち。

死んだ牛の絵は、腹のあたりの鮮烈な赤が印象的でした。

キャプションに、死体にガスが溜まるのを防ぐために、腹を割くと書かれていて生々しい。

生きている時と同じように、死んだ時も共にある。

まぎれもなく日常をともにした証に見えました。

未完の「馬」は印刷物になると、目玉の部分が紫色に見えるのですが、

板に描かれた実物を見ると、もうすこし黒みがかっています。

深い憂いをたたえた黒。

生きていても、死んでいても変わらずに、画家と人生を共にしていた、牛や馬たちを感じます。

東京ステーションギャラリー

独自のスタイルを確立するには、短すぎた時間だと感じた画家の人生。

1937−1970年。

神田日勝は32歳で夭折しました。

その間の画業は15年ほど。

独自のスタイルを確立するには、短すぎる時間だと私は感じました。

子供の頃から絵に興味をもち、後に東京藝術大学へ進む兄の影響で絵を描くようになった神田日勝。

農業のかたわら、絵を描き続けました。

道内の画家、公募団体内の画家と、影響を受けた画家は多く、作風にはその時々で影響を受けた画家が分かるほど。

まったく隠す様子もなく、影響を受けたというよりも「真似をした」と言ってもいいくらいの画風は、見ていて戸惑いすら覚えました。

「こんなんで良かったのかな?」

でもきっとそれは、本人が一番よく分かっていたかもしれません。

評論家や第三者にいくら評価されていたとしても、

もっと描きたかっただろうな。

展覧会の後半部分に「十勝の風景」と題した部分がありました。

これは生活の為に描いた「売るための絵」です。

本来美術作品として評価対象になりにくい作品なのですが、私はかえって力の抜けた、いい作品だと思って見ていました。

描かれている景色は荒涼とした十勝の景色。

画家の一家と同じく、日本各地から開拓民として来たものの、

過酷な開墾作業、

冷害で収穫できない作物、

設備投資によるかさむ借金により、離農する人も多い中、

捨てられた農地が広がる景色が何枚かありました。

馬が小川で水を飲んでいたり、珍しく緑が広がる初夏から夏の景色でしょう、

そんな明るい作品もありました。

もっと長く描いていたら、どんなスタイルを確立しただろう。

早くに亡くなってしまったことに、こんなにも私がこだわりをもって見るのは、

画家が私の父と同じ年に生まれた人だと、知ったからかもしれません。

父が32歳の時に私は1歳。

こんなに若くして亡くなったのかと、身近で元気に生きている父と、重ねながら見ていたからかもしれません。

美術館情報

東京ステーションギャラリー
東京都千代田区丸の内1−9−1
開館時間:10:00—18:00
(金曜日は20:00まで)
休館日:会期中無休
神田日勝展は2020/6/28(日)まで開催です。

この展覧会は下記美術館へ巡回予定です。

神田日勝記念美術館(北海道河東郡鹿追町)
2020/7/11(土)〜9/6(日)

北海道立近代美術館(北海道札幌市)
2020/9/19(土)〜11/8(日)

*アフターコロナで美術館の入館ルールが新しくなっています。
事前予約等が必要な施設もありますので、美術館ホームページで
確認してから、お出かけしましょう。