ファイナリスト達の作品に
私が共通して感じたことは、
「一体何を使って、どうやって
作ったのだろう?」
100カ国2500件の応募から
最終選考に残った29件の展示。
見れば見るほど
シンプルな驚きが湧いてきます。
草月会館で7/22(月)まで開催の
ロエベ ファンデーション
クラフト プライズ2019に
行ってきました。
もくじ
- クラフトプライズ2019とは
- 素材が作品へと昇華する工芸
- 特別な空間「草月プラザ」
- ハイブランドとアート
- こちらもオススメ
「伝統工芸青山スクエア」
クラフトプライズ2019とは
1846年スペインのマドリードで立ち上げられた皮革製品を主軸にしたブランド、ロエベ。
このブランドの財団が主催する公募展が「クラフトプライズ」です。
今年で3回目の本展は、「伝統を現代的に再解釈して継続的に現代文化へ貢献することを目的」(HPより抜粋)としています。
素材が作品へと昇華する工芸
大賞の作品は、目に入った瞬間に心臓に見えて、血液がドクンドクンと押し出され、血管を伝う音が聞こえるよう。生命体のようでした。
金色のザルのような作品。こちらはとても小さく片手に乗ってしまう位の大きさ。金色のフサフサした部分は接近してみるとものすごい細かさで、キラキラしてます。
ガラスは本来硬く冷たいものですが、柔らかく空気をたくさん含んで軽そうにも見える。
実際確かめたいと触りたい衝動に駆られます。
どんな感触なのか。柔らかい?ザラザラ、フサフサ、ツルツル、冷たい?暖かい?
作家の手により素材に命が吹き込まれて作品になっていく過程を想像します。
そんなふうに昇華するには時間が必要。
焼いたり、寝かしたり、乾かしたり、でも長ければいいということではなく、鉄やガラスを加工するなら、瞬時に操ることが必要でしょう。
長ければいいということでもなさそうですよね。
特別な空間「草月プラザ」
会場の草月会館内にあります草月プラザ。
イサム・ノグチによる石庭「天国」と名付けられた空間です。
石と水で構成されていて、普段はきっと草月流の素晴らしいいけばなが配されているのでしょう。
そんな特別な空間と作品の共演も素晴らしかったです。
ハイブランドとアート
いつ頃からか、都内に店舗を構えるハイブランドの店舗ににギャラリーが併設されるようになりました。
今思い出せるところではシャネル、ブルガリ、アルマーニなど。
こちらの商品を身につけたことはありませんが、店舗で見ることはあります。
正直、なんでこの服にこの値段なのだろう?と思うものもあれば、すごいなぁと思うもの。
理性を通り越して、これ欲しい!、と思うものまで様々。
たいてい店員さんが親切に、こちらの質問に答えて下さるので、素材や着こなし方など勉強になり、楽しいウィンドウショッピングです。
高度なコンセプトやそれを服というものを通して可視化しているとすれば、アーティストが様々な媒体や技法で作品を作るのと同じこと。
ハイブランドが美術に関わることは、自然なことですね。
少なくとも私にとっては、ハイブランドの商品はアートと同義語です。
こちらもオススメ
最寄り駅は東京メトロ銀座線・半蔵門線・都営大江戸線が通る青山一丁目駅。
草月会館に行く途中にあるこちらも、ついでに立ち寄ってみましょう。
私が行った時には近江の工芸品特集を催していて、織物の実演や反物、ストールなどの販売がありました。
夏らしいすこし張りのある生地が、手触りも爽やかでした。
全国の工芸品、がズラリ。
お値段はそれ相応なのでしょう。
買い求めやすいとは言いませんが、とにかく欲しい!これを家に置くことによって空間が上質になる、この道具を使うこと自体が自分に心地よさを与える、実用性に優れている道具だ、
こんな価値観を持って買われる方なら後悔しない品物が置かれていると思います。
美術館で展示品を見るがごとく、私も食い入るように見てしまいました。
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知人の妹さんの作品が出ていると知り
興味が湧いて足を運んだイベント。
草月会館と伝統工芸館という美術館的な要素がある場所に行くことができるので、アートが好きな方は楽しめるコースですよ。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。