「ほのぼの若冲・なごみの土牛」【山種美術館】 癒やしの定義を考えるきっかけになった日本画の良さを知る

「癒やし」という言葉。

自分の中で定義がはっきりせず
モヤモヤする言葉の一つでしたが

2024年最初に行った展覧会
「ほのぼの若冲・なごみの土牛」展をみていて
「癒やし」を体感する瞬間があり、

自分なりの「癒やし」の定義を考える
きっかけになりました。

モヤモヤ、イライラする言葉「癒やし」

「癒やし」という言葉、
日常でよく見聞きしますが
どうも自分の中で定義がはっきりせず
苦手意識と共にイラッとする
言葉の一つでした。

「癒やし」と「イライラすること」とは
一番離れたところにありそうなものですが、

「癒やし」と聞いてイライラしている自分に
苦笑しつつも、

定義がはっきりしない言葉を使うのは
もっと嫌だという自分の感情も
素直に受け入れていました。

「癒やし」の意味を調べたのち
簡潔にまとめてみると。。。

身体的・精神的(心理的)に
安らぎと平穏をもたらすもの・こと

これが「癒やし」の一般論、
でしょうか。

その手法にあっては
様々な分野に広がっています。

呪術師が病の人にたいしておこなう
悪罵払いといった、宗教的なことから

アロマセラピーのような
セラピー系。

瞑想、森林浴、代替医療、
気功やヨガなどです。

英語ではヒーリング(healing)ですが、
「癒やし」と「ヒーリング」の間にも
微妙な意味の違いがあるように
私は感じています。

もともと守備範囲の広い、
あいまいさがある言葉なのですね。

癒やしを体感する日本画の展示

展覧会の「はじめに」に、
描かれていたことで響いたのが

日常が大きく揺らぎ、不安定な世界情勢が続く今、
マインドフルネス、ウェルビーイング、チルといった
心の動きを意識する言葉が時代のキーワードとなっている

ということ。

作品が鑑賞者だけでなく、作品の制作が画家自身の心の
癒やしにも繋がっていることもある、というあたりです。

こういった背景を意識して、
展覧会の企画を作られたのですね。

続いて、展示室で印象的だった
日本画の作品について書いていきます。

アンゴラウサギのふわふわした毛並みや、
子犬や鴨の子どもたちが、
わちゃわちゃと動いている様子、

伊藤若冲は細密な動植綵絵とはことなり、
おおらかな筆の運びでユーモラスな鶏や布袋様を
描いているのが印象的。

上村松園の杜鵑(ほととぎす)を聴く、では
ほととぎすが描かれていないけど
想像でさえずりが聞こえてくる絵画空間があり、

長沢芦雪の月見布袋図も
月が描かれていなくても、
上を向いて月見をする
ユーモラスな様子の布袋様が可愛らしい。

あえて月を描かないことで見る人に想像させ、
絵画の完成に参加させるといった意図が面白い。

絵と鑑賞者の間に敷居がなく、

絵もこっちに来るし、
鑑賞者も絵の中に入って行ける
相互にコミュニケーションをしている
感覚があります。

以前見た風景画でもそんな感覚があり、
これは日本画の一つの魅力、
持ち味かもしれません。

美術館でみつけた「癒やし」の定義

作品をみていて「癒やし」という言葉が
スッと自分の中に素直に入ってくる瞬間に
気づくことができました。

私にとっての「癒やし」とは、

・静かなこと

・自然に自分の中に入ってくること

・ユーモアや面白さがあること

・綺麗であること

・風情があること

・行ってよかった、
見てよかったと素直に思えること

この展覧会を見に行ったのは
年末から全快するまで
半月ほどかかってしまった風邪が
治ってきた頃。

病み上がりでまだ頭痛も残っていたけれど
そろそろ美術館に行きたいという
気持ちが出てきた頃でした。

回復食のような、
じんわりやさしい展覧会に
まさに「癒やされ」た訪問でした。

山種美術館へのアクセス

山種美術館

JR恵比寿駅西口より
徒歩10分位。

山種証券(元SMBC日興証券)の創業者、
山崎種二氏(1893-1984)の個人コレクションを
メインに展示。

奥村土牛、上村松園、速水御舟、東山魁夷など
近代日本画を中心にした作品の日本画専門美術館です。

カフェ椿 山種美術館 東京 恵比寿・広尾 展示作品にちなんだオリジナル和菓子が食べられる

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