『ことり』新宮晋作【ブックレビュー】彫刻家が描く文字のない絵本に 作品との共通性を感じる

いろいろと良いタイミングが重なり、
普段の読書に絵本も取り入れることに
しました。

実用書と違い赤線を引いたり
書き込みしたりは
必要なさそうなので、
図書館で借りることにします。

といっても、
何から借りようか迷い
あ行から順番に借りようかと
思ったのですが、

漠然としていて
どうもピンとこない。

図書館の児童書コーナーを
ふらふら見ていたところ、

彫刻家の新宮晋(しんぐう・すすむ)さんの
お名前を発見。

それがこの本、
『ことり』です。

文字が全くないので
これが本当の絵本と言うのか?!

この本のシチュエーションとして、
丘の上にあるご自宅の庭に来る
シジュウカラを主人公に
しているようです。

本のページは普通紙と
薄紙の2種類で作られていて

薄紙のほうに描かれた絵によって
情景に躍動感が生まれ、

普通紙に描かれた絵に
薄紙の絵を重ねることにより
奥行きのある絵にもなります。

木々や生い茂る葉っぱが
ざわざわと風になびいて
揺れる様、

枝に止まったことり達の
間を吹き抜ける風の流れ、

パタパタという鳥の羽音。

ページをパラパラとめくるたびに
紙面に動きが生まれるようです。

薄紙を挟むことで、
動きを出す作りが面白い。

新宮さんは彫刻家で、
風を動力に動く彫刻を
作られている方。

絵本の中にも木々の間を
抜ける風が感じられ、

新宮さんにとって「風」は
創作における大切な
要素なのかなと思いました。

下記の写真は横浜美術館(現在休館中)にある
新宮さんの作品。

これより大型の作品もありますので、
パブリックアートとして
美術館の屋外や公園などに
設置されていることが多いです。

新宮晋「風の音符」(1989年)

こちらの絵本記事も宜しければどうぞ。

SNSはじめました!

ブログだけでなくSNSもはじめました。
フォローしてくれるとうれしいです!