『なおみ』 谷川俊太郎作【ブックレビュー】幻想的な世界に引き込まれるシュールな写真絵本

絵本、深いな。。。

と、思わずうなってしまう
シュールな写真絵本。

大人になってから
絵本を読むことの楽しさと

少ない文章ながら
強烈な余韻が残ることで、

「なおみ」とは何なのだろう?と
純粋に考えることの楽しさ、

2つの楽しさを受け取りました。

絵本セラピストの方が読まれていて
興味を持った本。

児童書とは思えない
怖いような謎めいているような
幻想的な世界に引き込まれました。

1982年に初版が発行されていますが、
絶版と聞いているので
図書館で借りてきました。

「なおみ」とは日本人形で
主人公である6歳の「私」と
「なおみ」がいっしょに過ごす
日常を書いた本。

「なおみ」と「私」が
一緒に過ごした時期は
多分短い一時期で

そこを切り取ったように
書かれた感じを受けます。

特に幻想的で
私が引き込まれた箇所は
冒頭と終わりの部分。

まず冒頭、6歳の「私」が
はっきりと「なおみ」は
私の生まれる前からずっといると
認識しているところ。

そして突然「なおみ」は
病気になり、
亡くなって「私」と一旦
別れるのですが、

「私」が大人になり
娘がいるというシチュエーションで

ある日、屋根裏部屋で昔のままの
「なおみ」に会い、
自分の娘のそばに「なおみ」を
寝かせて物語は終わります。

読みはじめに

「なおみ」は子供にしか見えず、

なぜか女の子のところにしかこない
「存在」なのかなと思って読み進んだ為、

大人になった「私」にも
「なおみ」が見えるのか!
と、かなり意表を突かれました。

たった32ページの児童書のため
表記はすべて平仮名。

1ページに3〜4行しか
文字がない本ですが

読み終わったあとに
強烈な余韻が残ります。

谷川俊太郎さんの
文章もさることながら、

この本に独特な世界観を
与えているのが、

沢渡朔(さわたり・はじめ)さんの写真と
加藤子久美子(かとうじ・くみこ)さんの制作された
「なおみ」人形でしょう。

残念ながらお二人の他の作品を
観たことがありませんが

検索するといくつか情報が
出てきました。

沢渡さんはポートレートや
グラビア写真の分野でご活躍、

加藤子さんは、すでに
他界されているようですが
昨年、2023年に回顧展
開かれていました。

SNSはじめました!

ブログだけでなくSNSもはじめました。
フォローしてくれるとうれしいです!