キース・ヘリング展【森アーツセンターギャラリー】30年の時を経てヘリングの本質を考え 作品と活動を振り返る好企画

最初にヘリングの作品を見たのは
20代の頃。

あのときはキース・ヘリングという
流行りモノとして
表面しか見ていなかったと気づき、
猛省した展覧会。

ヘリングの作品は
単なる流行りモノではなく
「不変の流行りモノ」
だったのでは?と、

私なりの解釈を得られた
良い企画でした。

不変の流行りモノとは

1958年生まれ。
もし生きていたら
今年で66歳のキース・ヘリング

エイズによる合併症により
31歳で亡くなってから
35年が過ぎました。

生きていたら今の世界を
どんな風に
表現しているだろう?

活動していた1980年代と比べて、
差別や偏見や争いは
少なくなったのだろうか。

「平和がいいに決まってる」

と書かれたポスターが
まだまだ役割を終えていないように
見えるのは私だけではないはず。

鮮やかな色彩、
単純でインパクトのある線、

街に現れて路上や地下鉄に
描くパフォーマンス。

こうしたものに
目を奪われがちだし、

20代の私も
ヘリングの表層しか
見ていなかった。

没後35年が経っても
過去のものにならない作品は

今後もいい意味で時代に
効いていくだろう。

展覧会のサブタイトルである
「アートをストリートへ」に
集約されるように

彼の作品は街や地下鉄に
落書きのように描かれたところから
始まった。

そんなカジュアルさから
作品ではなく「モノ」。

そして、彼の作品は
変わらない(不変)のに

現在でも過去のものにならない
感覚(流行)として

「不変の流行りモノ」という解釈が
自分の中に出てきました。

ヘリングを再構築できた見ごたえある展示

1980年代の作品の
インパクトはそのままに、

表面的なことだけでなく、
その本質、彼が伝え続けて
いたことを

キャプションを読むことにより
知ることができました。

作品タイトルは殆どが無題のため

今回の展覧会では
キャプションが作品と同じくらいに
私にとっては重要。

彼の作品がただの路上の落書きに
ならなかったのは、
歴史や美術の勉強をして得た
知識や行動力だったこと。

メッセージや主張を
記号やアイコンの
ような絵にして

アートを日常の風景の中に
持ってきて

特定の人だけでなく
多くの人と共有する。

ヘリングの作品はまるで
snsのような役割だったという
解釈も納得。

これは何だろう?

何が言いたいのだろう?

なぜ目が3つある?

作品にタイトルをつけたり
くわしく注釈を加えたりせず

考えたり、行動したりする
きっかけを作っていたのだ。

考える、表現する、
行動する。

この3つのシンプルな循環は
ヘリングの制作活動や
生き方にも通じていると思います。

ヘリングの鮮やかでポップな作品と共に
活動のストーリーも知ることができ、

自分の中でヘリングが再構築できた
見応えある展覧会でした。

展覧会は2024年2月25日まで
森アーツセンターギャラリーにて開催です。

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