横尾さんご自身も企画に携わっておられる展覧会。
600点あまりの作品で構成される、質・量ともに圧倒されるパワフルな展覧会です。
もくじ
- 爆盛横尾丼を完食できるか!
- 600点余りの展示作品
- コロナ禍に生まれた作品群
- 美術館情報
爆盛横尾丼を完食できるか!
横尾ワールドから活力を貰えるか、飲み込まれて精気を奪われるか?!と言ったところか。
いつもながら、ものすごいパワーの作品たち。
たくさんの色や人、モノで溢れかえっている絵画は、見ても見ても見きれない、何か見落としているような感じがします。
質も量もハンパない「爆盛横尾丼」を目の前に出されているようで、
いくらお腹が空いていても、完食は無理だろうと半ば諦め、
でもやっぱり食べてやる!
という、妙なパワーも出てきます。
平面の絵画に見えるものでも、パッチワークのように画布が継ぎ接ぎだったり、
額が途中で切れていたり、
違うサイズのキャンバスがいくつか集まって一つの作品になっていたり。
電飾で周囲が飾られていたり、
毛皮がはられているなど、コラージュらしきものもあるし、
アニメーションのように画面の一部が動いている、テクナメーションという技法の作品もありました。
一つの作品には、多くの要素が描かれていて、
ネタがてんこもりなのです。
宗教的な作品や、何か心の内をえぐるような哲学を感じる作品も多い反面、
あっけらかんとした明るさが際立つ作品もあり、
深い部分と表面的な部分の行き来を頻繁にしながら、作品をみる羽目になります。
600点余りの展示作品
展示を見ていて、作品が多いと感じていましたが、展示作品は600点あまりとのこと。
美術展では、規模が小さな展覧会では100点前後、
大きな展覧会でも300〜400点くらいが普通なので、
600点が「多い」ことがお分かりいただけるでしょう。
2段に展示してあったり、壁いっぱいにランダムに展示してあったりと、
展示室一面が作品といった様相です。
東京都美術館は、高さ、広さとも展示室のスペースがある方だと思いますが、
それでも「所狭し」と展示されている感じがそこらじゅうにあります。
横尾さんの作品がおとなしく収まる場所なんて、この世にあるのかだろうか?
きっとどこにかざっても「所狭し感」はあるような気がしています。
空間と作品の境界線が物理的にはあるけれども、
目に見えている範囲を超えて、
作品の世界は、スペースがあるところすべてに広がっているのでしょう。
コロナ禍に生まれた作品群
展示室を出て、ミュージアムショップの奥のスペースには、撮影OKのおまけのような展示エリアがあります。
ここにあるのは、「WITH CORONA(WITHOUT CORONA)」と呼ばれる展示。
横尾さんが自身の絵画や写真の作品を使って、マスクをコラージュした作品群です。
既存の作品に「マスク」を登場させることによって、
見え方、解釈がどう変わるのかを問われているようです。
こちらも忘れずに見てみましょう。
美術館情報
東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月曜日(9/20は開館)・9/21
GENKYO横尾忠則展は2021.10.17(日)まで開催です。
※来館時の事前予約を推奨しています。
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牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。