三井記念美術館にて2021.4.18日まで開催中の「小村雪岱スタイル」展。
もう一つの小村雪岱展が、日比谷図書文化館で開催しています。
できれば同じ日に2つの展覧会をハシゴして欲しい、その理由を書きました。
もくじ
- 小村雪岱展とは
- 三井記念美術館と日比谷図書文化館の展示を比較
- 2展を合わせて見ることで得られること
- 日比谷図書文化館について
小村雪岱展とは
大正から昭和初期に活躍した、
日本画家・装幀家・版画家・挿絵画家・舞台装置作家と、
さまざまな顔を持つ小村雪岱の、仕事・作品・人生を紹介する展覧会です。
- プロフィール
小村雪岱(こむら・せったい)
1887年 埼玉県川越市生まれ
1940年 東京にて没(享年53歳)
詳細はウィキペディアもどうぞ。
大正から昭和初期に活躍。
東京美術学校(現在の東京藝術大学)の日本画科を卒業し、
日本画家でありながら、本の装幀、挿絵、舞台装置やデザイン
などの仕事のほうがメインともいえる人物。
日本画家の鏑木清方との親交もあり、装幀や挿絵の仕事ばかりしている小村雪岱に対し、
「オリジナルの作品も描かなければ」と言われ、ニヤリと笑ってかわした、
というようなエピソードを展示室のキャプションで読みました。
何を思って日本画よりも、装幀や挿絵、デザインの世界に身を置いていたのか、興味深いところです。
三井記念美術館と日比谷図書文化館の展示を比較
私が感じた特徴を3つずつ上げてみましょう。
日比谷図書文化館
- 図書館らしく、本の装幀、挿絵の仕事に焦点を当てている
- 小村雪岱が交流した人物たちについて知ることが出来る
- 本が資料でもあり、作品でもあるという役割を見ることができる
- 美術館らしく絵画、特に肉筆画が非常に充実している。
- 小村雪岱の仕事が現代も含めた後世にあたえた影響が分かる
- 舞台装置なども手掛けたという、多彩な活動が分かる
2展を合わせて見ることで得られること
それは、小村雪岱のすべての仕事が、俯瞰できることです。
美術館・図書館と、それぞれの役割を活かした内容の展示になっていますので、
別の言い方をすれば、
一方の展示で手薄になっているところを、もう一方が補完しているように思えます。
特に美術館側の企画展は、小村雪岱の肉筆画が多くあることに驚きます。
画家としての仕事もしてるじゃない!
ちゃんと絵も描いているじゃない!
挿絵にもそのテイストが活かされているのが分かるよ!
と純粋に、そんな驚きを以て展示室をまわっていました。
日本画家、作家としての一面をきっちりと出しているところに、共感がもてる展示です。
そして美術館でも展示はあるものの、本の装幀、挿絵に関しては、
図書館側の企画展は質・量ともにさすがです。
こちらは小村雪岱の研究家・真田幸治さん監修で、
新聞の切り抜きまで、資料としてあるのがすごいですね。
小村雪岱が関わった新聞小説の挿絵や、雑誌のレイアウトなどを見るのですが、
それ意外の新聞記事も歴史を感じるもので、思わず目がいってしまいました。
日比谷図書文化館について
東京都千代田区日比谷公園1-4
03-3502-3340(代表)
03-3502-3343(図書総合カウンター)
月曜日〜金曜日 午前10時〜 午後8時
土曜日 午前10時〜午後7時
日曜日・祝日 午前10時〜午後5時
【アクセス】
東京メトロ 丸の内線・日比谷線「霞ヶ関駅」
B2出口より徒歩約3分
都営地下鉄 三田線「内幸町駅」
A7出口より徒歩約3分
東京メトロ 千代田線「霞ヶ関駅」
C4出口より徒歩約3分
JR 新橋駅 日比谷口より 徒歩約10分
駐車場・駐輪場はございません。公共交通機関をご利用下さい。
館内のレストランで食べた「まい泉」のかつ膳の記事も、どうぞ。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。