出光美術館【展覧会レビュー】長期休館前の第三弾企画 日本・東洋陶磁の精華

美術館が入る帝劇ビルの建替え工事による
長期休館前の第三弾企画。

中国や朝鮮の陶磁器がメインの展示で

「地域間で影響を与えながら、昇華していく」
一端が見られたのが、一番の見どころでした。

「陶磁器は各国、地域で相互に影響を与えながらも、
自然環境や文化・伝統などを、背景に
独自のフォルムやデザインを
生み出していたことが分かります」

展示室で読んだこのキャプションが
非常に印象に残り、
自分なりに展示を満喫する
助けになりました。

「地域間で影響を与えながら、昇華していく」の具体例

・マイセンが柿右衛門の絵柄を真似て作製した作品
・尾形乾山がオランダのデルフト焼に影響を受けて作った作品
・中国が国力の誇示のために作製した大皿の作品

以上の3点が特に
印象に残ったことです。

ドイツのマイセンが柿右衛門を真似たことは
知っていましたし、

戸栗美術館等、伊万里焼のコレクションを持つ
美術館で見たこともあるので
良い復習になりました。

かたや、尾形乾山がオランダのデルフト焼に
影響を受けた作品は
初めて見たかもしれないので、とても新鮮。

「デルフト焼きに影響を受けた乾山の作品」
と言われなければ、

乾山のセンスに溢れた作品だと
思ってしまうほど違和感はありません。

外から取り入れた技法や色使いを
自分のものにしてしまう
乾山の凄さを感じました。

最後、大皿についてです。

直径50センチほどでしょうか、
中国が輸出用に作った
大皿も立派でした。

絵柄は中国風とも言えるし、
輸出先の西アジア、アラブ諸国風にも
見えるエキゾチックな雰囲気。

西アジアでは食事の時に
大皿に盛り付けて食べる習慣があるとかで
そこに中国が目をつけ、

自国の陶器の技術や完成度の高さを見せ
力を誇示するために大皿を作製し
輸出していたそうです。

芸術品で国の威信や力を
誇示していた時代だったのだなと
思いを馳せました。

展覧会情報

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日本・東洋陶磁の精華
ーコレクションの深まりー

出光美術館
会期:2024年7月20日(土)〜8月25日(日)
開館時間:10:00〜17:00・毎週金曜日は19:00まで
(各々入館は閉館時間の30分前まで)
休館日:毎週月曜休館(ただし8月12日は開館)、8月13日(火)

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