茶道のことは分からなくても
展覧会でよくお目にかかる茶道具は
見ていて面白い。
その面白さの一つが、道具につけられた
「銘(めい)」の存在です。
「銘」とは、
「優れた」茶道具が与える独自の美の印象を
相応しい言葉で置き換えることです。
(いわの美術株式会社様のホームページより抜粋)
すべての茶道具に「銘」がつく訳ではなく
優れた道具だと思われたものに
つけられます。
先日、三井記念美術館で見た
水指(みずさし)と茶碗について
みてみましょう。
向かって右上のほうに
半月のような月が見えませんか?
キャプションによると、
この半月を夜明けに残る月になぞらえて
「有明」と銘をつけたようです。
意図してできた模様ではなく、
焼き上がって偶然できた景色から
銘が生まれる例です。
しとしとと雨が降っている
景色が見えますね。
こちらはキャプションによると、
濃淡をつけて塗られた
釉薬(うわぐすり)の景色を
黒い雲の間に降りしきる
雨足に見立てて、
「雨雲」を命名されたようです。
***
今回は水指と茶碗を取り上げましたが
茶杓や釜などの道具にも
「銘」はつきます。
季節により道具を替える茶道らしく
12ヶ月の月ごとによく使われる
「銘」もあるそうです。
ご興味がありましたら
前出のいわの美術株式会社様の
ページを御覧ください。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。