長期休館前の4つの企画展【出光美術館】美術館の特徴を知るにふさわしい好企画

美術館が入る帝劇ビルの
建て替え工事に伴い

2024年12月を以って
長期休暇に入る出光美術館。

すでに会期が終了した
展覧会もありますが

「出光美術館の軌跡、ここから、先へ」
と題して、

閉館前に4つの展覧会を
開催しています。

いずれも出光美術館の特徴を
知るにふさわしい企画。

それぞれの企画展内容や
ビルの建替えについても
まとめてみました。

閉館までの4つの展覧会

すでに会期が終了した
展覧会もありますが

4つとも美術館を知る上で
非常に良い展覧会です。

見終わった展覧会の感想とともに
これから開催される展覧会に
期待することも書いてみました。

*****

1つ目の展覧会(会期終了)
出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅠ
復刻 開館記念展—仙厓・古唐津・中国陶磁・オリエント

58年前の開館時に催した
展覧会の復刻ということで

当時の写真の展示もあり、
作品の鑑賞とあわせて
時代の移り変わりも見ることが
できました。

58年前もこうして
同じコレクションが展示され、

多くの人が見ていたのかと思うと
感慨深い。

地味だけれど味わい深い
古唐津の焼き物と

上手いとか下手とかを超越している
仙厓の作品の開放感が
特に良かった企画でした、

2つ目の展覧会(2024年6月1日(土)~7月7日(日))
出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅡ
出光佐三、美の交感—波山・放菴・ルオー

美術館創立者である出光佐三(いでみつ・さぞう)と
陶芸家の板谷波山(いたや・はざん)の
交流がメインの企画。

私は初めて見るような
珍しい作品が何点もあり大満足。

加えて、パトロンと芸術家というよりも
精神的なつながりと、信頼関係のある
友人として、

お二人の関係が分かる
いくつかのエピソードも良かったです。

例えば、波山が納得がいかず
割って捨てようとしたものを、

佐三が気に入り、頼み込んで貰ったものが
「命拾いした作品」として展示してあります。

波山にとっては作品ではないので、
箱書きもサインも当然ありません。

でも佐三にとっては、他のコレクションと同様に
大切な「作品」。

美術館に堂々と展示し、
それを許している波山。

このような二人の関係が
作品とともに興味深く見られました。

陶片室にも波山の作品のかけらがあり、
断面など完全な作品とは違った
見え方を楽しめますので、
忘れずに立ち寄りましょう。

展開中のギャラリートークなどイベント情報はコチラ

3つ目の展覧会(2024年7月20日(土)~8月25日(日))
出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅢ
日本・東洋陶磁の精華—コレクションの深まり

事業拡大で訪問した中国で、
中国陶器と出会い
コレクションが始まったようです。

日本の陶磁器も含め、
東洋の陶磁器の展示も
あるようですので、

朝鮮半島や東南アジアなどの
陶磁器も見られることを
期待しています。

4つ目の展覧会(2024年9月7日(土)~10月20日(日))
出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅣ
物、ものを呼ぶ—伴大納言絵巻から若冲へ

絵画で振り返る出光佐三と美術館の
120年のコレクションの軌跡、
といった感じの内容でしょうか。

収蔵品を体系的に知ることができるのが
面白そうですね。

個人的には2019年にコレクションに加わった
旧プライスコレクションの伊藤若冲作品を
また見ることができそうで楽しみです。

*****

4展とも出光美術館を知る上での
ポイントをおさえた好企画。

これらの企画で展示される収蔵品は
どれも美術館にとって主要な作品だと
みることもできます。

この節目に、出光美術館とは
どのような美術館なのか、
記憶に残しておきましょう。

以上4展が「出光美術館の軌跡 
ここから、さきへ」と
題した展覧会ですが、

追加情報として、下記の展覧会が
閉館前の最後の企画展になるようです。

2024年11月上旬~12月開催予定
トルコ展(仮称)

詳細は美術館ホームページもご覧ください。

帝劇ビルの建替え工事

出光美術館が一時閉館になるのは
美術館が入っている帝劇ビルの
建て替え工事のため。

美術館の開館と同じ
1966年竣工の帝劇ビルと共に
隣接する国際ビルと共同で
建替えが行われます。

有楽町付近の魅力あるまちづくりに
貢献する為とのこと。

帝国劇場と共に出光美術館も、
新しいビルに入る予定です。

数年規模の閉館になることが予想されますが
生まれ変わる美術館を楽しみに待ちましょう。

ビルの建替え工事の詳細は
「国際ビル」・「帝劇ビル」共同建替計画着手
の報道発表もご参照ください。

休館中は門司にある出光美術館へ行ってみよう

ここで、出光美術館の休館中の
楽しみ方を3つご提案しましょう。

①福岡県北九州市にある「出光美術館 門司」へ行く

出光興産創業者であり、出光美術館創立者である
出光佐三ゆかりの地にある美術館。

私もまだ行ったことがないのですが、
門司の町並みや宗像大社等、
他にも行ってみたいところがある地域ですので、
休館中に足を運んでみたいと思います。

②他館での収蔵品の展示に期待

例えば海外の美術館が
改修工事等で休館中に、

日本で大規模な展覧会が
行われたりしますよね。

普段は貸し出せない作品や、
まとめて館外へ持ち出せない作品も

長期休館となると
他館へ貸し出す場合があります。

「出光美美術館展」なんて企画が、
他館で見られる機会が
あるかもしれません。

いつもと違う空間に置かれる作品が、
どんな風に見えるのかが楽しみです。

③美術館のホームページをチェックする

最近ですと長期休館明けの
横浜美術館の例がありますが

休館中でもメルマガや各種SNS、
ホームページで情報発信を
行っていました。

②で提案した他館での展覧会情報や、
休館中に修復する作品がある場合は
その作業状況など、

情報発信はすると思いますので
時々見てみるのもおすすめです。

美術館情報

出光美術館

東京都千代田区丸の内3-1-1 
帝劇ビル9階(出光専用エレベーター9階)
電話:ハローダイヤル 050-5541-8600(展覧会案内

開館時間:10:00〜17:00
毎週金曜日は19:00まで

休館日:毎週月曜日
ただし月曜日が祝日および振替休日の場合は開館、翌日休館

入館料:一般 1,200円/高・大生 800円
中学生以下無料

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