世田谷美術館に続き、塔本シスコさんの故郷
熊本県の熊本市現代美術館にて
2度目の鑑賞となりました。
もくじ
- 同じ展覧会を何度も見ることの利点
- シスコさんの絵が、エネルギッシュに見える理由
- 人生100年時代のお手本
同じ展覧会を何度も見ることの利点
同じ展覧会でも場所を変えて何度か見ることで
感覚や理解度が変わります。
今回は世田谷美術館と比べて
キャプションも含め、展示構成は同じように感じましたが、
作品の展示順序は変わっている部分もありました。
全国4箇所を巡回する予定なので、
今年はこの展覧会を追いかける予定です。
展覧会のお陰で、熊本市現代美術館にも
初訪問することができました。
行ったことのない美術館を
訪問する機会ができるのも利点の一つです。
シスコさんの絵が、エネルギッシュに見える理由
今回はシスコさんの絵が、
はつらつとした生命感あふれる理由を発見。
それは、作品にリズムがあり、
躍動感につながっていること。
花がたくさん描かれていて、
その花を構成する花びらや葉、
紫陽花の茎に書かれた点々模様などの細部、
そういったものが、大きさを変え、
濃淡を変え、数を変えして画面全体に
リズムが生まれているのです。
うねりと言ってもいいでしょうか。
実際、展示室で撮影した作品で
見てみましょう。
![塔本シスコ展](https://mariko7.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_2128.jpeg)
細部に注目。
観葉植物の葉らしきものが、
たくさん描かれていますね。
根元までぎっしり、葉っぱだらけ!
葉の色も複数の緑色が使われていて
葉先は様々な方向を向いています。
![塔本シスコ展](https://mariko7.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_2130.jpeg)
アジサイの枝に描かれた点々模様や、
枝がくねくね曲がりながら
画面全体にはびこっているような様子に
いきいきとした生命を感じます。
そして、鳥の配置や各々の向きには
躍動を感じます。
![塔本シスコ展](https://mariko7.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_2114.jpeg)
これでもかー!と描かれたもみじの葉。
よほどシスコさんの目にも印象深かったのでしょう。
もはやヒトデのような迫力と
量に圧倒される勢いです。
![塔本シスコ展](https://mariko7.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_2112.jpeg)
小石を貼り付けていると思われる
遊びゴコロのある一枚。
大量の小石と、斜めに切り込む構図が
大胆です。
人生100年時代のお手本
シスコさんの生い立ちについて
追加で知ったことの一つが、
小学校4年生までしか学校に行けなかったこと。
家計を助ける為に働き詰めだったようです。
そして結婚、出産、子育てと続けば、
絵を描けるようになったのが50歳
過ぎてからというのも頷けます。
それでもシスコさんは91歳で亡くなるまでの
約40年間も絵を描きました。
やりたいことを始めるのに遅すぎることはない、
とはこういうこと。
何歳からでも、自分の情熱が傾くところに
集中して生きていくことを、教えて貰いました。
塔本シスコ展は熊本市現代美術館にて
2022.4.10まで開催です。
世田谷美術館の塔本シスコ展の記事も、どうぞ。
![真理子](https://mariko7.com/wp-content/uploads/2019/01/1228MN_003-100x100.jpg)
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。