過剰包装とか簡易包装とかいう世界には、はめられない
「包む」という文化を見ることができる展覧会です。
もくじ
- リバイバル企画展?
- 実用性を超える「包む」の装飾性
- 美術館情報
リバイバル企画展?
この展覧会のことを知った時に、東京・六本木にある
21-21 DIGHN SIGHTで開催される企画みたいだと思いました。
展示物はアートディレクターの岡秀行さんのコレクションで、
目黒区美術館に寄贈されたもの。
和菓子やお酒、お土産物の、自然の素材を活かしたパッケージに魅了されて、
コレクションを始めたそうです。
実は岡さんのコレクションで2011年に目黒区美術館で展覧会を開催し、
それが縁で寄贈されたそう。
よって、2021年開催の本展はリバイバル企画展なのかな?とも思っています。
実用性を超える「包む」の装飾性
「素材の良さや性質を活かし、それを超えないような使い方をしている」
キャプションに書かれていたこの文章は、とても印象に残りましたね。
竹、笹、陶、紙、木、藁などの自然素材を使った包装が、
素材別に展示されているのですが、
製品と素材の組み合わせがポイントの一つかなと思います。
例えば日本酒を入れるための装飾性の高い陶器があるとして、
それを割れないように包む藁は、実用的な理由で選ばれる、
けれど仕上げには、日本酒の原料であるお米の稲穂が飾りとして付いている。
意図的なのか、偶然の流れなのかは分かりませんが、
実用と装飾の境界線があいまいで、
実用的な理由で素材を選んだり、包み方を考えたりしているうちに、
結果として装飾性もある、という状態になっているように見えるのです。
いまいちど、キャプションの文章に戻り、
「素材の良さや性質を活かし、それを超えないような使い方をしている」
でも、できあがった包装は、
素材の良さを超えた、装飾性も持ち合わせたものになっていると思うのです。
この不思議さが、私の印象に残る理由かもしれません。
美術館情報
東京都目黒区目黒2−4−36
開館時間:10:00-18:00
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
包む – 日本の伝統パッケージ展は2021.9.5(日)まで開催です。
美術館に併設のカフェの記事もどうぞ。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。