美術館 展覧会 2020年 美術館コンシェルジュが選ぶ展覧会TOP10

今年は64展行った中から、TOP10を選びました。

年末恒例、美術館巡りの集大成です。

もくじ

  • 2020年展覧会TOP10
  • 今年の美術館巡りを振り返る

2020年展覧会TOP10

さっそくTOP10。

  • 見えてくる光景(アーティゾン美術館
    リニューアルではなく、リボーン、名称もあらたに生まれ変わった美術館。ブリヂストン美術館時代より、見慣れた作品から、見慣れない作品まで。あらためて充実のコレクションを実感。

  • ミナ・ペルホネン つづく(東京都現代美術館
    良いものを長く着る。ファッションでの持続可能をすでに実現しているブランドなのだと実感。

  • 出雲と大和(東京国立博物館・平成館)
    「日本」はどこから、どうやってはじまったのか?を意識することになった展覧会。

  • 祈りの造形(日本民藝館
    世界が平静でも、騒がしくても、ここは肚の座った静けさで満たされている。あらためて、この空間の素晴らしさも展示と共に感じられました。

  • 開館記念展 珠玉のコレクション(SOMPO美術館
    本社ビルの42階から、独立した建物にリニューアルした美術館。ゴッホの「ひまわり」と東郷青児のコレクションで知られていますが、他の収蔵品と共に、これからどんな企画を見せてくれるか楽しみです。

  • オラファー・エリアソン展(東京都現代美術館
    美術展というよりも、この社会をより良くするための方法を、提示されたように感じた展覧会。

  • 須藤一郎と世界一小さい美術館ものがたり
    多摩美術大学大学美術館
    美術が好きな会社員が、一人の作家の作品に惚れ込み、そこからコレクターへ。自宅を美術館にしたり、銀座に美術館を開設したりと、「好き」から「社会貢献」に至るまでの変遷が、須藤一郎さんを通して分かる企画。

  • 籔内佐斗司退官記念展(東京藝術大学大学美術館
    「せんとくん」を生んだ作家として知られる籔内佐斗司さんの退官記念展。仏像修復を専門とする研究室を率いてきた活動や功績、それを通して学生たちに何を伝えてきたかを作品を通して見せてもらいました。

  • 宮島達男クロニクル(千葉市美術館
    1から9までの数字が点滅する、デジタルカウンター。時間や人の命は無限でないのだと、数字により可視化されたようで、この時期、心に響いた展覧会。

  • トライアローグ(横浜美術館
    愛知県美術館・富山県美術館との合同企画。同じ頃に開館し、収蔵品も似ている3館の作品を比べて見る展覧会。各美術館の学芸員が話し合いを重ねたという企画は、各々の作品に対する思い入れも感じられます。

今年の美術館巡りを振り返る

思い起こせば2019年の年末あたりからか。

中国で野生動物から感染したと思われる新種のウィルスが蔓延している、

なんてニュースを、鶏インフルエンザか豚コレラかくらいな感覚で聞いていたのは、この私。

その後の展開はみなさんご存知の通り。

聞き飽きたし、書き飽きたけれども、やはり書く。

本当に大変で、訳のわからない1年でしたが、お互いに本当にお疲れ様でした。

例年どおりに、行った展覧会TOP10の記事を書けることにも感謝します。

「不要不急」の代名詞のような美術館巡りですが、

むしろ、世の中に存在する「不要不急」こそが、有事に平常心を保ち、冷静であるために大事なことなのではないか?という考えを持った年でもありました。

4月・5月は東京都や近隣地域でも緊急事態宣言が発令された為、美術館も臨時休館となり、

2ヶ月間はまったく展覧会に行きませんでした。

6月に入り、ポツポツ行きだし、

やっと帰ってこられた。と、

長い旅から自宅に戻ったような気さえしました。

各美術館は現在に至るまで、Covid-19感染防止対策や

スケジュール変更の対応に追われた、苦労の多い1年だったと思います。

海外からの作品貸し出しができずに、中止や延期となる展覧会が多い中、

自館の収蔵品や、国内の美術館同士での賃借で企画された展覧会も、いくつかあったようです。

実は似たような状況は以前にもありました。

2011年3月に発生した東日本大震災後です。

この時は日本国内の放射能汚染の度合いが分からず、海外からの作品の貸し出しが一時ストップしました。

その時も同じように、被災を免れた美術館は、工夫をこらした自主企画展を開催しています。

この年末にきて、感染が拡大してきたという理由で、再度臨時休館している美術館もあります。

Covid-19の感染拡大状況に、開館する・しないが左右されることは来年もありそうですが、

こういう時こそ、真の「美術館力」が発揮されるでしょう。

今まで通りの美術館というリアルな場を確保しつつも、展覧会のWeb配信やイベントをオンラインに切り替える整備も必須になるはずです。

私自身はリアルな鑑賞に勝るものはないと思いますが、

鑑賞者としても、考え方を変えていく時期なのかもしれません。

来年も美術館の魅力を発見すべく、多くの展覧会に足を運びたいと思います。

私と同じように美術館へ行くのが好きなみなさまも、良い展覧会に出会えますように!

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