知り合いの方が出品している時くらいですが、公募展を見に行きます。
美術作品の展覧会というくくりでは同じですが、美術館の展覧会とは違う印象や魅力について書いてみました。
もくじ
- 公募展とは
- どこで開催してるの?
- 美術館の企画展との違いは?
公募展とは
公募展(こうぼてん)とは、主催者が作品を広く公募した上で、集まった作品に対し関係者および審査員などによる審査を経た入選作品を一般展示する展覧会の総称である。
大半の場合、特定の美術団体が主催し、審査員もまたその美術団体の構成員であり、美術団体の会員による作品と公募・審査を経た入選作品が同時に展示される形態を取る。美術展覧会の形態のひとつでもある。(Wikipediaより)
ここで言う「特定の美術団体」とは、国内で一番大きな公募展、日展(日本美術展覧会)を主催する公益財団法人日展や、
二紀会、白日会、新制作協会、女流画家協会など、多くの団体があります。
絵画、彫刻、書道、工芸など様々なジャンルで構成され、
各部門に分かれて展示されることが多いですが、
書道のみ、絵画のみと個別にの団体もあります。
どこで開催してるの?
都内では、上野にあります東京都美術館と六本木にあります国立新美術館での開催が多いですね。
実はこの2つの美術館は、もともと美術団体主催の公募展を開催するために作られた美術館。
収蔵品をもたない場所を提供するだけのいわゆる「箱モノ」の美術館です。
美術館主宰の企画展も常に開催されているため、
「公募団体のための」という印象はあまりないですよね。
他に、東京以外の都市部ですと三越や高島屋、
地方に行くとその場所場所の百貨店で開催することが多く、
美術館で行う企画展と同じように、全国いくつかの会場を巡回する公募展もあります。
2020年上半期はCovid-19の影響で、中止した団体がほとんどです。
10月位からは少ないながら、再開する展覧会もあるようですので、
美術団体や美術館のホームページでチェックしてみましょう。
美術館の企画展との違いは?
一番の大きな違いは、評価の定まっていない作品も展示されていることです。
美術館は現在または、特定の時代において、一定の評価を得ている作品が美術品として収められている場所。
対して、私達と同じ現在を生きている美術家の方々が作る、最新の作品が展示されるのが公募展です。
美術団体の中には、国内での知名度や作品の評価がトップクラスの作家も所属していますが、
同時にまだ美大生だったり、実力をつけている最中だったりと、
美術家として、さまざまなステージにある作家の作品が展示されています。
鑑賞者として美術品を見る力も試されそうですが、
私が公募展を見に行った時に一番感じるのは
「とにかく疲れる」
です。
美術館の企画展と違い、コンセプトのある展覧会ではなく、作品の品評会のような場なので、
まったく何も訴えかけてこない作品もあれば、
何かギョッとするほど強く語りかけてくる作品もあり、
こういった作品同士の妙なテンションのムラが、見ていて体力を使うのかな?
美術館ではあまり感じないことなので、これはこれで面白く思っています。
油絵の具の匂いが空間に充満していて
「まだ絵の具の匂いが新鮮に感じるほど、完成して間もない作品なのだ」と
身体全体で今、現在を生きている方々が描いた絵なのだと、生々しい感覚を持つのも新鮮。
団体によっては出品条件を付けているところもあるのでしょう。
50号くらいの大きな作品が、2段で壁一面にぎっしり展示している様など圧倒されます。
そんな状態で900点ほどの展示を見たときは、興味があるジャンルだけを流してみても2時間位かかり、
強烈な空間を体感しましたね。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。