2020年美術館事始めは、そごう横浜店にあります「そごう美術館」から。
この展覧会は渋谷・池袋・広島と巡回していますが、今回は2つの章が加わった横浜だけの特別編です。
初詣で横浜に来るため、去年もそごう美術館からスタートしています。
美術館の新年事始めは、こちらの美術館が定番になりそうです。
もくじ
- 展覧会の構成
- 私の感想
- 整った私生活
- お気に入りは京都の美術館
- 今後の巡回予定・美術館情報
展覧会の構成
展覧会は、下記7部で構成されています。
1.日本アカデミー賞の部屋
2.映画女優の部屋
3.一個人の部屋
4.日常の部屋
5.言葉の道
6.京都の部屋
7.きものの部屋
6,7が横浜展限定になります。
私の感想
昨年2019年9月に亡くなられた、樹木希林さんの追悼展である本展。
生まれた時から女優業をメインに、生涯を見ていく展覧会です。
生い立ちや家族のことなど、プライベートの写真や展示物も多く、女優だけでない、一人の人間としての希林さんの一生をみることができます。
そこで私が見つけたのは「地に足のついた生き方をされた方だった」ということ。
今まで私が持っていた風変わりな、個性的なといったイメージだけではない希林さんを見たのです。
基本をしっかり押さえた上での、アレンジ三昧な人生ということ。
例えば着物。
畳んで何枚でも入るから持ち運びもラクだと、海外旅行は着物しか持っていかないほど、日常からフォーマルな場まで着物をよく着られていました。
新しいものを買うよりも、古い着物をご自身でリメイクしたり、生地が傷んでいれば裏打ちして補強するなど、細かい手仕事もされていたようです。
若い頃から着物を着ていたので、基本は押さえていらしたでしょう。
年齢を重ねるにつれ、自分流の着物に仕立て、希林流に着こなしている写真はとても素敵でした。
整った私生活
ご自宅の写真の展示もあり、着物のリメイク同様、気に入ったものを長く手入れして使うという精神が、隅々まで見受けられます。
部屋全体の雰囲気や調度品、いつも持ち歩いていたマイ箸に至る小さなものまでも、きちんと選んでおられていたようです。
子供や孫の教育についても、みなさん海外の学校で学ばれているようで、ここにも希林さんのお考えが反映されているのではないかと思っています。
孫の学校の入学や卒業に、海外まで出かけて付きそう写真をみて、思った次第です。
女優業は収入が安定しないからと、不動産で家賃収入を得たり、マネージャーをつけずにご自身で仕事の調整もされたりと、「管理」がしっかりしていて、内も外もなんて整った人なのだろうと、感服してしまいました。
お気に入りは京都の美術館
美術はよく分からないと言いながらも、希林さんが通い続けたのが京都祇園にあります、
今回こちらの美術館の展示室が一部に再現されていて、趣ある一角となっています。
館長と家族ぐるみのお付き合いをするほど、意気投合していたようで、ここに来る時はさぞかし楽しかったであろう時間が、伝わってくるようです。
小さな美術館ですが、焼き物一つを展示するのにも、床の間のような畳敷きの空間に、軸と花器に生花が活けてあることもあり、趣ある空間をもつ美術館です。
京都にお越しの際は、是非立ち寄ってみてくださいね。
今後の巡回予定
不明(申し訳ありません!)
【美術館情報】
そごう美術館
横浜市西区高島町2−18−1そごう横浜店6階
開館時間:10:00〜20:00(入館は閉館の30分前まで)
会期:2020年1月1日(水)〜1月26日(日)
休館日:会期中無休
その他詳細は美術館ホームページへどうぞ。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。