ルート・ブリュック展で、北欧美術の紹介が成熟してきたことを感じる。

東京ステーションギャラリーにて開催中の「ルート・ブリュック 蝶の軌跡展」。会期も後半に入り、6/16(日)までとなりました。

私がこの展覧会を見たいと思ったのは。。。

私がこの展覧会に行こうと思ったきっかけ

遡ること昨年8月。

東京都目黒区の目黒区美術館で開催された「フィンランド陶芸 芸術家達のユートピア」にて、ブリュックの作品を初めて見たことがきっかけです。

作品数は多くありませんでしたが、物語性の高い作品はまるで絵本を読んでいるようで、惹かれました。

それで、この展覧会は今年の外せない展覧会となったのです。

目黒で見たような作品もありましたが、全く違う作品もあり。

晩年は抽象や造形のはっきりしたパターンの組み合わせのような作品が多く、その変化に驚きます。

目黒では本当に一面しか見てなかったのだなと知り、作家個人に焦点をあてて紹介することは、とても大事だと思いました。

ルート・ブリュック展

「北欧」とはどこの国?

インテリア、工芸、ライフスタイルを中心に、「北欧ブーム」と呼んで差し支えのない状態が続いています。

最初は「北欧」という括りは気になりませんでしたが、美術館でも数々の展覧会が開催され、自分の中でも馴染んでくるに従って、違和感が出てきました。

北欧とはどこの国なのか。

一括りにしてしまっていいのか。

という違和感です。

一般的に北欧とは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク。

地理的にも近いし、影響は与えあっているけれど、別の言語、文化を持つ国同士です。

身近な例では、中国と韓国と日本を「東アジア」と一括りにされてしまう感じでしょうか。

歴史的にも深い関わりがありますが、同じ国だと思われるのは、乱暴に聞こえますよね。

ルート・ブリュック展

国、個人と深くなってゆく、ブームから成熟期へ。

ムーミンだけではないトーベ・ヤンソン。

フィンランドのアーティスト、ルート・ブリュック。

北欧の建築ではなく、アルヴァ・アアルトの建築。

というように、個人名でアーティストと作品が紹介される展覧会が増えてきました。

あきらかにブームから成熟期へ移行してきていますね。

私たち一般の鑑賞者にとっては、とても好ましいことです。

なぜなら、作家の思いや、作品の本質を正確に知ることができるから。

北欧諸国の中でもフィンランドは目立って紹介が多いと思っていましたが、腹落ちする見解を、三菱一号館美術館の館長、高橋明也氏が新美術新聞に寄稿されていましたので抜粋しましょう。

「もともとフィンランドは、西欧の中心的ギリシャ・ローマ文化から遠い辺境の地であったがゆえにアカデミックな縛りも少なく、デザインや工芸などを中心として民衆的文化伝統の中に広く根付いた経緯がある。」

いかがでしょう?

シンプルなパターン表現や自然思想など、日本の文化、思想との共通点があり、それが受け入れやすさの理由の一つ。

自然と入ってくるというか、

あ、これ知ってるみたいな感覚。

日本と大きく違うところは、隣国ノルウェーのような近代化が遅れたため、大量生産に代表される工業化で勝負ができず、独自の路線を見つけざるを得なかった。そこで大量生産に頼らない「オリジナル」が生まれていったようです。

一つ一つの国、一人一人の個人に焦点を当てていくことで、見えてくるものは多くありそうですね。

ルート・ブリュック展

ルート・ブリュック展は東京の後、
下記美術館へ巡回します。

伊丹市立美術館
岐阜県現代陶芸美術館
久留米市美術館

お近くの美術館で、楽しんでくださいね。