脳にフォーカスして考えると、
結局は体全体の健康や生活習慣について
取り組むことになる。
脳とか心臓とか、別々に考えるのではなく
身体は全体で一つ、という考え方には
共感します。
身体は絶妙なバランスで保たれていることが
全体を通して非常によく分かる一冊です。
医師ではない著者が書く専門性の高い内容
アルチンボルト風な表紙が印象的。
本文中にもでてくる脳に良いとされる食べ物で
脳を型どっています。
著者は健康や科学専門のジャーナリストで、
医師ではありません。
アドバイザーとして医師が参画していますが、
このような専門性の高い本を
医師でなくとも書くことができるし、
書いてもいいのだということに
驚きました。
だからこその良さで
日常生活での取り入れるポイントや
自身が心のなかで思っていることに
現実味があり、
素人が考えそうなことや
間違えてやらかしそうなこと、
もっともらしいことを考えて
栄養学の考えを阻止したい気持ちなども
書かれており、
「分かっていらっしゃる!」
と共感し、苦笑する場面もありました(^^;)。
母親が認知症だと診断されたことから、
なぜ母がこんなことになったのか、
治す、又は進行を遅らせることは
できるのか、
と考えたことが
執筆に至る出発点。
ですから、つべこべ言わずに
きちんとしたものを食べよう、と
警告のように強めに提案する箇所も
見受けられます。
薬の名前や、細胞、栄養素の名前など、
専門用語が溢れかえっていて
クラクラと目眩がしそうな箇所は
多々ありますが、
読んでいる内に別の章で出てきたりと
繰り返しでてくる用語も多いです。
ですから、分からないことは
飛ばして読んでいき、
読了後に何となく
「いろいろな栄養素があり
複雑に絡み合っているんだね」
くらいに理解すれば、
まずは十分だと思います。
そのくらい情報量が多く、
専門性が高い内容です。
***
続きまして、本を読んで
共感した2つの考え方を書いていきます。
知識をつけた上で、自分自身の真実を探す
まず一つ目が
「知識をつけた上で、自分自身の真実を探す」
ということ。
私は、健康に関することは、
たとえ医者が言うことであっても
鵜呑みにしないようにしています。
なぜなら、人間の身体は完全にオーダーメイドで
一人ひとり違うという考え方を持っているからです。
同じ食べ物を食べても、人によっては栄養になるし
人によっては害になることすらあります。
薬の量も同じ薬を飲んでも効果がある人と
ない人がいる。
私の基本的な考え方に非常にマッチしたのが
本書の「知識をつけた上で、自分自身の真実を探す」
ということです。
真理は一つですが、真実は人の数だけある。
自分にとって、何がベストなのかの指針になるように
書かれた本とも言えるかもしれません。
身体の大きさ(身長や体重)
年齢、性別だけでなく
身体のしくみは、頭の先からつま先まで、
外部も内部も、非常に複雑に影響しあっていて
絶妙なバランスで「健康」を保っています。
ですから、試行錯誤を繰り返し
自分に合った食べ物、食べ方、食べる量、
食べるタイミングを知るということが
大事だと、著者は言っています。
「栄養学」は絶え間なく進化する学問である
二つ目が、
「栄養学」は絶え間なく進化する学問である
ということです。
これを聞いて思い当たるのが
「卵」に関する私の知識。
以前は、卵は一日1個まで。
という知識を私は持っていたのですが
いつの頃からか、1日に2・3個まではOK、
別に何個でも食べていいという説も
聞くようになりました。
この手の情報や知識には
混乱することもしばしばです。
栄養の知識なんて
コロコロと変わってばかり!
と苛立つことすらありますが、
「栄養学」は絶え間なく進化する学問である
この一文を読んだことにより
苛立ちがスッと消えた感じになりました。
複雑に影響しあい、絶妙なバランスで
「健康」を保っている身体と栄養素の関係。
そう単純に分かる訳はないのかも
しれません。
***
この本を読んで行動してみた
小さなことは、
ケールを食べてみたこと。
たまたま近所のスーパーに売っていたので
手にとってみました。
力強い青臭さがあり、
味も濃くて、美味しい葉っぱです。
夏の間はサラダにして
しばらく食べてみようと思っています。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。