愛知県美術館で開催中の
「幻の愛知県博物館」展が
興味深い!
現在、愛知県には県立博物館がありませんが、
実は145年ほど前にはあったという話。
存在していたのに、
継承されなかったのです。
まだ見ていない展覧会に馳せる
思いと期待を書いてみました。
展覧会情報
場所:愛知県美術館
(愛知芸術文化センター10階)
開催期間:2023年6月30日(金)〜8月27日(日)
開館時間:10:00〜18:00
(金曜日は20:00まで・入館は閉館の30分前までです)
愛知県博物館とは
1878年(明治11年)に民間からの寄付を募って開館。
開館当初は、古い書物、味噌や醤油、酒、織物、陶磁器、
絵画、機械、動植物などの物産を展示し、
人々に知識を与えたり、
技術の発展に寄与しようとしていました。
その後、明治政府の殖産興業政策に即した
商品陳列館になっていったようです。
継承されなかった理由は何か?
「商品の陳列館になった」というのが、
一つの理由になりそうです。
2023年1月現在のICOM日本委員会による
博物館の定義を以下に全文書きます。
“博物館は、有形及び無形の遺産を研究、収集、保存、
解釈、展示する、社会のための非営利の常設機関である。
博物館は一般に公開され、誰もが利用でき、包摂的であって、
多様性と持続可能性を育む。
倫理的かつ専門性をもってコミュニケーションを図り、
コミュニティの参加とともに博物館は活動し、
教育、愉しみ、省察と知識共有のための様々な経験を提供する。”
以前に何度か加筆修正があり、
現在の形になっていますので
これからも変化する可能性のある定義です。
愛知県博物館が開館した頃は、
まだ博物館の定義も定まっていなかったとしながらも、
「商品の陳列」では博物館として認められず、
継承が難しかったようです。
かたや、最近の話で思い出すのは
大阪中之島美術館の開館。
途中、計画倒れになる危機も乗り越えながら
40年近い歳月を経て、開館に至った事例があります。
関わる人々の思い、タイミング、時代背景など、
なくなるもの、生まれるものの要因は多くあり、
絡み合って現象が起こっているのだろうと感じています。
この展覧会から得られそうだと思うこと
残る・無くなる。
両面からの考察が深まりそうです。
#幻の愛知県博物館 展(6/30-8/27)は、今から145年前に名古屋・大須にできた博物館の活動を紹介する企画展✨
文化財という言葉もまだない時代、博物館建設に携わった人たちはどんなあるべき博物館の姿を思い描いていたのでしょう。
日本の博物館史も紐解きながら、愛知県博物館の実像に迫ります☺️! pic.twitter.com/FMkiiDpVu2— 愛知県美術館 (@apmoa) June 30, 2023
長く残したいものを
どうすれば残せるか。
その為のアイディアが得られそうな
感じがします。
誰を巻き込めば残せるか。
何が必要か。
資金はどこから調達するか。
アイディアを活かすための
リソースも見えてきそうです。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。