温泉地として、文化人や政治家、
財界人の別荘や滞在先としての歴史も長い、
神奈川県西部の湯河原町。
そんな地に建つ、元老舗旅館の建物を活かした町立の美術館です。
美術館情報
住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上623−1
電話:0465-63-2111
開館時間:9:00〜16:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:水曜日(祝日に当たるときは開館)
※8月は無休で開館します。
年末(12月28日~31日)
展示替え期間
美術館は元老舗旅館
明治時代に創業した湯河原を代表する老舗旅館の一つ、
天野屋旅館の本館を改装し、
1988年に「湯河原ゆかりの美術館」として開館したのが始まりです。
その後、2006年に現在の「町立湯河原美術館」となりました。
画家に逗留してもらったり、
静養先として滞在してもらうことで縁ができ、
作品の寄贈も受けています。
旅館が持っていた作品は美術館に引き継がれ、
入れ替えを行いながら、常設展で見ることができます。
キーパーソンは二人の画家
この美術館におけるキーパーソンとは、
竹内栖鳳(たけうち・せいほう)と平松礼二(ひらまつ・れいじ)。
お二方とも日本画家です。
関わり方が、受動的、能動的とそれぞれ対象的なのが、
面白いと思っています。
・竹内栖鳳(1864-1942)
療養先として、旅館にアトリエを作ってもらい住み、
作品制作をする。 →受動的
・平松礼二(1941- )
美術館内にアトリエを作り、そこを公開。
自身の制作活動の場でもあり、地域との関わりの場として利用。
美術館という箱を最大限活用して、盛り上げていく姿勢は
素晴らしいと思います。→能動的
ひなびた雰囲気が最大の魅力
天野屋旅館の本館部分を使用した美術館からは、
単に建物を活用しただけでなく、
かつて多くの文人墨客を迎え入れた旅館の、
しいては湯河原の歴史にも、自然と興味が湧いてきます。
館内は登り、下りがあり、不思議な間取り部分もあります。
増改築を繰り返したと想像され、
古めかしさを感じずにはいられませんが、
湯河原が栄えた頃の、「過去の栄光」が
補ってくれる部分は多いと感じています。
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町立湯河原美術館について書いた、こちらの記事もどうぞ。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。