神奈川県横浜市/横浜美術館と三渓園で横浜ゆかりの実業家・文化人、原三渓の人生を知る。

会期も残り少なくなりましたが横浜美術館で9/1(日)まで開催中の「原三渓の美術—伝説の大コレクション」展。

三渓園と松方コレクション展との掛け合わせでさらに深く、展覧会を堪能しましょう。

横浜ゆかりの実業家・文化人、原三渓の人生を知る

生糸業で財を成した実業家であり、美術品のコレクター、茶人、自らも制作をするアーティスト、アーティストを育てるパトロンと文化人としても多彩な顔を持っていた原三渓(はら・さんけい)

故郷である岐阜時代から始まり、原家へ入り、事業に邁進し、美術支援の活動も精力的に行う、人生のスペクタクルが見られます。

多くの優れた美術品を蒐集したにもかかわらず、戦後の経済の混乱等でコレクションは散逸の道を歩みますが、

三渓は自身のコレクションで美術館を作りたかったのではないか?と私は思っています。

今回、各収蔵先から集められた三渓のコレクション。

ゆかりの地、横浜に建つ横浜美術館でコレクション展が実現したことは、意味があることではないでしょうか。

横浜美術館_原三渓

この展覧会、構成がとても分かりやすいのが良い点です。

6つの章で構成されているのですが、各章のタイトルが本の目次の役割をしていて、目を通すだけで先に書いた三渓の人生が分かるようです。

プロローグ
第一章 三渓前史—岐阜の富太郎
第二章 コレクター三渓
第三章 茶人三渓
第四章 アーティスト三渓
第五章 パトロン三渓

このような6つの章で構成。

プロローグで一章から五章までをザッと紹介した後に、本編である一章の展示が始まります。

全体を把握してから細部を見るという順番が理解しやすいですね。

展覧会と併せて行きたい「三渓園」

三渓園_入口

本牧にあります「三渓園」

こちらは53,000坪もある三渓が造り上げた日本庭園。

一般公開をしていた外苑と、私邸として利用していた内苑に分かれています。

内苑には三渓の自筆の書画も展示してある「三渓記念館」や、自邸兼パトロンとして支援していた作家たちが寝泊まりし、アトリエとしても使用していた鶴翔閣(かくしょうかく)が見どころです。

三渓園_鶴翔閣

ただし公共の交通機関でのアクセスがあまり良くないため、美術館と同日に行くのはせわしないかもしれません。

駐車場(有料)がありますので車で行くのがお薦めですが、私は今回電車を使ったので、公共の交通機関で行くときのアドバイスを2つほど書いておきましょう。

・横浜駅・桜木町駅・元町・中華街駅から市バスに乗る(乗車時間は各35分・25分・15分位)→三渓園入口バス停から徒歩5分

・JR根岸駅を利用する場合はタクシー利用がお薦め。乗り場で人が並んでいる場合は、電話で呼んだ方が早そうです。(乗車時間15分位・1,270円2019年8月現在)大明交通㈱:045-753-2100 /横浜無線タクシー:045-755-2211/神奈川タクシーセンター:045-252-0300など。

残すは8/26(月)のみの運行になりますが、横浜美術館⇔三渓園間を無料のシャトルバスが運行しています。

こちらを利用できれば、2つの施設を同日に行くのがとてもラク。

赤いくつ号

バスは「あかいくつ号」で三渓園のボランティアスタッフが乗車し、車内で三渓園の解説などして下さるので、車窓からの景色と共に、ちょっとした観光気分が味わえるのもお得なところです。

ボランティアスタッフの方によると、少し先ですが、11月下旬から12月上旬の紅葉の頃が園内素晴らしいですよ、とのことでした。

私も今回ほんの一部しか、見ることができなかったので、過ごしやすい気候になってから、あらためて園内散策に出かけるのも良さそうですね。

もう一つ、併せて行きたいのは「松方コレクション展」

東京・上野公園にあります国立西洋美術館で開催中の展覧会。

このコレクションを築いた松方幸次郎も原三渓と同じく、明治、大正、昭和とほぼ同時代を生きた人物です。

二人とも実業家であり、美術品のコレクターという共通点を持っています。

私は美術館巡りしているうちに、明治生まれの実業家の方のコレクションが元になっている美術館がいくつもあり、

この時代の実業家諸氏が、示し合わせたように茶の湯を嗜んだり、美術品を蒐集したり、美術館を作るという同じような活動をしていることに気づきました。

理由は、社会貢献を含む、それぞれの人生哲学に基づいてとか海外への日本美術の流出を止めるとかが代表的なもの。

そうした人物と美術館、時代背景や彼らの活動理由などをまとめた良書が下記の本です。

富豪への道と美術コレクション—維新後の事業家・文化人の軌跡志村和次郎著 ゆまに書房

こちらに松方幸次郎と原三渓も取り上げられています。

時を同じくして、コレクションを展示するだけでなく、各々の人物像、人生、コレクションの成り立ちなども紹介する企画展が、それぞれの美術館で開催されており、

2つを見ることにより、同時代に生きた二人の共通点、相違点などを探すのも、面白い展示の見方だと思いますよ。

三渓園_蓮のつぼみ