町田市立博物館が6/16日を以て、46年の歴史に幕を閉じます。
この閉館は一時的なもので、町田市国際版画美術館のある市街地に近い芹が谷公園に移転、再開館することが決まっています。
ですからなくなるわけではないのですが、現在の姿はもう見られないと思うと、寂しさが湧いてきました。
1973年に町田市郷土資料館として開館、その3年後に博物館と名前を変えて現在に至ります。
私のイメージではガラスや大津絵、着物、陶磁器などの収蔵品が多く、企画展も美術館的な要素が高い施設でしたので、何度も足を運んだところです。
私にとっての「町田市立博物館」とは
今どきのカフェではない、レトロな喫茶店のような博物館です。
狭苦しいともいえる、小ぢんまりとした館内。
トイレも床のタイルとか便器の形、洗面所の雰囲気も、私が小学生の時のトイレのようで、今どきむしろ貴重じゃないかと思うくらいの空間。
収蔵品も目立って、ものすごいものはなかったように記憶していますが、元が「郷土資料館」としての出発を考えれば、
どの時代であっても一般庶民が使っていたもの、またそのような人々のハレとケの生活を彩るものを見せてくれていたのではと思います。
ですから、若作りせず、年齢を重ねて、重ねて、いい味を出しているところだと思うのです。
再開館するとはいえ、もう同じ姿を見ることはできない博物館に寂しさを感じながらも、
自分も年を重ねるにしたがって、寂しいけれど、こうした思い出が増えていくのだなと。
こういう思い出は私にとっての「いいを味出す」収蔵品になっていくだろう、なんてまとめたら、綺麗すぎるでしょうか(笑)。
博物館の「いい味を出している収蔵品」が、ピカピカの新しい展示室でどのような表情を見せるのか。
そんな気持ちも同時にかみしめているここ最近です。

牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。