堅山南風「大震災実写図巻」と近代の画家展【半蔵門ミュージアム】関東大震災から100年 有事に自分は何をするのか

日本画家の堅山南風(かたやま・なんぷう)が
関東大震災の様子を記録するために描いた
「大震災実写図巻」。

混乱の中、震災の記録を残した画家の仕事を
レジリエンスと社会貢献というキーワードで
考えてみました。

半蔵門ミュージアムにて、
2023年11月5日まで実物が
見られます。

堅山南風「大震災実写図巻」とは

1923年に起こった関東大震災

巣鴨の自宅で被災した、
日本画家の堅山南風(1887‐1980)は

震災の様子を記録しようと
歩きまわって描き続けました。

そして2年後に完成したのが
「大震災実写図巻」です。

浅草の観世音菩薩様が震災で
一切の影響を受けなかったことから、

加護を尊び、最後は菩薩様で
締めくくっているのが印象的です。

描くことが画家にとってのレジリエンス

教訓のために災禍を絵に残そうと
画材を持って外に出たものの、

たびたび描くのか
滞ってしまったとある。

観世音菩薩様の擁護で
なんとか描き上げられた。

と語っていることから、

想像を絶する震災後の景色に、
描くどころではないショックを
受けたであろうことが伺えます。

それでもスケッチを続け、
2年後には「大震災実写図巻」として
まとめ上げました。

画家としてできること
やるべきことを
有事に行うことにより、

後世に残す作品ができ、
また自身のレジリエンスにも
役に立ったであろうと
思っています。

社会貢献となった仕事

この図巻を描くにあたり、

惨事をいつまでも
覚えておく必要もないし、

思い出したくなければ
それでもいいが、

教訓はしっかりと引き継ぎ、
普段から備えをすること。

振り返れば、存外慌てることも
なかったことが、

知恵や冷静さが足りなかった為に
大惨事になった部分も
あるのではないか。

と、キャプションを読んでいて
現代にも活かせる
鋭い指摘が響きました。

全面、火と煙の渦まみれの絵が
紙一枚、割いてあることから
火事は本当に酷かったとみえ、

同じ規模の地震や火災が
今、東京で起こったらどうなるのだろう?
と考えてしまう図巻です。

堅山南風が心血を注いで描き上げた
「大震災実写図巻」と作家の言葉からは、

有事における教訓とともに、
自身が如何にして回復していくかの
大切さもうかがえました。

半蔵門ミュージアムで実物を見よう

堅山南風「大震災実写図巻」は2023年11月5日まで
美術館の展覧会にて実物が見られます。

半蔵門ミュージアム

「大震災実写図巻」と近代の画家展

東京都千代田区一番町25
電話:03-3263-1752
開館時間:10:00〜17:30(月・火曜定休)
入館料:無料

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