Bunkamuraザ・ミュージアムで開催の「みんなのミュシャ」展。
東京では、明日9/24(日)までですが、その後5カ所の巡回情報も末尾に書きました。
機会がありましたら、美術館に足を運んでくださいね。
今回は感想と展覧会タイトルからの問い、何が「みんなの」ミュシャなのかを考えてみました。
展覧会は、下記5章で構成されています。
1.ミュシャ様式へのインスピレーション
2.ミュシャの手法と
コミュニケーションの美学
4.ミュシャ様式の言語
5.よみがえるアール・ヌーヴォーと
カウンターカルチャー
6.マンガの新たな流れと美の探究
私の感想
ミュシャが何から影響を受けて、様式を確立していき、どんなところに影響を与えたかの流れが分かる展覧会。
ミュシャの展覧会は過去に何度か行っていますが、あらためて気づいたことが2点ありました。
ひとつ目は、ミュシャの代表であるポスター作品について、20代と30代とで色合いが変化していること。
20代は淡く明るい色合いが多く、30代は輪郭線が出てきて、色もくっきり鮮やかなこと。
ふたつ目は、アールヌーボーの流れを汲む曲線の多用。
女性の長い髪や、柔らかさを感じる着衣の動きに活かされていて、ダイナミックな構図になっていることです。
何が「みんなの」ミュシャなのか
第五章に出品している漫画家の方の言葉で「コマーシャリズム、絵画的、装飾性、このすべてを兼ね備えているのはミュシャだけだ」というような一文がありました。
これぞメインタイトルの「みんなのミュシャ」を表していると思ったのです。
漫画家やイラストレーターなどの職業人から一般素人まで、
いいな、真似したいな、取り入れたいなと思い、
技法だけでなく、エッセンスも同時に真似することができた再現性の高さと、
コマーシャリズム、絵画的、装飾性という多様性が「みんなの」ものになったのではないでしょうか。
同時に、多くの人が真似したくなる共通の感覚が含まれていた。
それを表現できた才能も、ミュシャの素晴らしさの一つだということに気づいたのでした。
今後の巡回予定
下記5カ所に巡回します。
京都文化博物館
札幌芸樹の森美術館
名古屋市美術館
静岡県立美術館
松本市美術館
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。