民藝の100年展 東京国立近代美術館 作品だけでなく民藝を世の中に広めた手法が分かる

この展覧会に行こうと思った理由は、

民藝と呼ばれる作品の展示だけではない
ことを知ったからです。

もくじ

  • 作品の展示だけではない企画
  • 生活道具が民藝になるまで
  • プロデュースされた民藝
  • 鑑賞時間は最低3時間
  • 美術館情報

民藝の100年

作品の展示だけではない企画

この展覧会に行こうと思った理由は、
民藝と呼ばれる工芸品の展示だけではないことを
知ったからです。

“美術館・出版・流通という三本柱を掲げた
民藝のモダンな「編集」手法”を
紹介していると、
愛読紙の新美術新聞で知りました。

日本民藝館各地の民芸館に代表されるように、
民藝の作品を展示している展覧会は今までも
何度か見たことがあります。

ただ、今回のように、
民藝がどのようにして民藝となっていったのか、
という過程や歴史は、あまり紹介されて
いなかったのではないかと思ったのです。

作品だけを見ることに
私自身が何か物足りなさを
感じていたのかもしれません。

とても良いタイミングで気づきを持って
この展覧会に行くことができました。

民藝の100年

生活道具が民藝になるまで

民藝とは「民衆的工芸」の略称。

生活の為に作られた家財道具全般が
対象になります。

作家がつくる作品ではなく、
名前が表に出てこない職人によって
作られる道具です。

柳宗悦を中心にした
民藝運動に関わった人々が
どのように美術の域までもってきたか
という活動と、

その審美眼に叶い、
美術品となった生活道具を
見ることができます。

民藝の100年

プロデュースされた民藝

民藝はどのようにして美術品になったのか、
一言で表現すると「プロデュース」が
非常に優れていたことが分かります。

そのプロデュース手法は、
「民藝の樹」と呼ばれていた、

美術館・出版・流通

という3つの面から、
民藝とそのエッセンスを
世の中に広めていくことです。

美術館とは、日本民藝館を始めとした
各地の民芸館のこと。

特に鳥取と浜松(現在は無くなっているようです)の
民芸館は地元の支援者がいたことで
早くから開館していました。

そして、大原孫三郎の大きな支援を受けて、
東京にできたのが目黒区駒場にあります
日本民藝館。

柳宗悦の自邸の向かいに開館した美術館とあり、
中心的な美術館となります。

美術館は作品の展示が
主な役割であったと思われます。

次に出版。

民藝の思想、作品集、技法などの内容が
書かれた本が出版されています。

書き手は主に柳宗悦ですが、

作品集や技法などは、作家も
編集に関わった方がいると思われます。

著書では民藝がなぜが大切なのか、
守るべきものなのか、
そして美しいのかを説いているはずです。

民藝を理解するためには、
それらを読めばいいのですが、
個人的には少々とっつきにくい
感じもあります。

ですので、
今回の展覧会で全体像を掴み、
興味のある部分の本から読み始めてみる、
というのがいいかもしれません。

最後に流通。

民藝作品を買える場所を作るということです。

これは作家や工房、職人の支援であるとともに、

買うことができる場所があれば、
一般の人々がより、民藝のエッセンスを
日常生活に取り入れ、

感性や情緒が豊かな生活が
おくれるのではないか、
という提案だと私は思いました。

民藝運動は柳宗悦を中心として、
作家や支援者といった立場がことなる人が
関わっていました。

自分たちの審美眼に叶う
「民藝」を求めて全国を旅し、
時には海外まで出向く。

旅行に出るときの出で立ちが
個性的な面々ばかりで、
かなり目立っており、
それが広告塔の役割も果たしていた
というエピソードからは、

民藝に真摯に向き合いながらも、
楽しんで活動をしている様子も伝わってきました。

民藝の樹という手法や、
メンバーの行動力や審美眼に、
民藝の力強さを感じる展覧会です。

鑑賞時間は最低3時間

常設展も見ようと思っているならば、
鑑賞時間は最低3時間。

できれば半日は確保しておきましょう。

見るものあるは、読むものあるはで、
ボリュームたっぷりの展覧会なのです。

おまけに特設のミュージアムショップが
非常に魅力的。

地域の民藝を扱うショップが
期間限定で出店しており、
つい手にとって
いろいろ見てしまいます。

私は2時間位の予定で行きましたが、
まったく足りず、
最後の方は駆け足気味で見てきました。

当然、常設展を見る余裕はまったくありません。

この日は次の予定もあったため
延ばすこともできず、大失態です。

これから行かれる方は、
私のような消化不良な鑑賞にならないよう、
予定を立ててくださいね。

展示室で、有意義な時間が過ごせますように!

民藝の100年

今回は、竹橋にある東京国立近代美術館で開催中の
民藝の100年展を見ての所感を書きました。

まだ会期もありますので、
ぜひ、民藝の作品と成り立ちの
両面を知る機会に触れてみて下さい。

美術館情報

東京国立近代美術館

東京国立近代美術館

東京都千代田区北の丸公園3-1
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)
休館日:月曜日(祝休日は開館し翌平日休館)、展示替期間、年末年始

柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年は、2022/2/13まで
開催です。

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