COVID-19の感染拡大防止により、ジムは休館。
これが思いがけず屋外を走るきっかけとなりました。
実はこの本を6年近く前に最初に読んで以来、外を走ってみたいと思っていたのです。
もくじ
- 再読であらためて思う、ランニングの効果。
- なぜ外を走ってみたいと思ったのか
- 「あたらしい生活様式」にランニングはどう役に立つのか
再読であらためて思う、ランニングの効果。
最初に本を読み、外を走ってみたいと思うも、マシントレーニングを組み合わせていたこともあり、屋外でランニングをする決め手がありませんでした。
ですから、建物の4階にあるジムから、外を走る人を眺めながら何年も、トレッドミルで走っていたのです。
室内で走っていても、効果は実感していました。
マシントレーニングやウォーミングアップ、クールダウンの時間も含みますが、2時間ほどの運動の後には、以下の4つを実感していました。
- 爽快感
- 積極的にものごとを片付ける気力がやたらと湧く
- 集中力が上がっている気がする
- 素早い判断力
一言でいうと「頭が冴えている状態」です。
3月の下旬から外を走り出して1ヶ月ほどたち、この本の存在を思い出して再読したところ、心当たりのある効果が書いてあり、ランニングの良さを再認識しました。
この本の第一版が出版されたのは2014年2月。
著者の山口拓朗さんとはWeb心理塾というコミュニティにいた時に面識があり、文章の専門家である山口さんがランニングの本?!という意外性もあり、手にとった一冊です。
実は山口さん、東京マラソンを完走されたこともあるランナーのお一人。
ご自身のランニング経験とそこから得られた効果、
「ランニングには、自分を変化させる力がある」
に裏付けを得るために、書く決心をされたと序章にあります。
私が実感した効果以外にも、いくつもの「自分を変化させる力」が書かれていますよ。
なぜ外を走ってみたいと思ったのか
本の再読は、私の背中を押してくれます。
それでも、私にとって慣れない「しんどさ」というのが、1ヶ月以上経った今でもまだ、あるのです。
太陽の光、向かい風、坂道や、舗装されていても、でこぼこな道、車、自転車、歩行者、そして直近で加わったソーシャルディスタンスなど、常に周囲で気をつけないといけないことが多くあるのです。
ジムのトレッドミルで走っていた頃は、ボタン一つで速さも変えられるし、周囲に気を使うことはゼロに等しいので、おのずと走りに集中する状態ができていました。
周囲に気を使う、走り方、速さなど考えながらも、走ることに集中もしたい。
あ〜なんだか、面倒。
何も考えないで走ることだけに集中したい!
ところが、このいろいろと考えながら走る「しんどさ」が脳を活性化させ、「自分を変化させる力」を作ることに繋がっているようなのです。
本文に「走ったサルがヒトになった」という、非常に印象深い一文があります。
私達の遠い祖先が、まだ狩りをして暮らしていた頃、二足歩行をするサルが現れて、前足が手になり、道具が使えるようになったこと。
四足歩行では、歩きにくくなるので大きくなれなかった脳が、二足歩行により大きくなれたこと。
ヒトに特有の、「発汗」という強力な冷却装置のおかげで、オーバーヒートせずに長距離を走り続けることができ、獲物が疲れて倒れるまで追い詰めることができたこと。
そうしてヒトは、生き延びてきたこと。
「走る」という行為は、ヒトが生きていくための基本動作と言っても過言ではないでしょう。
「面倒だ」「しんどい」と思いながらも、外を走り続けることは、ヒトの本来の感覚を思い出す、自然な行為だと思うようになりました。
「あたらしい生活様式」にランニングはどう役に立つのか
心肺機能をはじめ、体力維持や増進に効果があるのは承知のとおり。
そこから派生して、ランニングを続けていると、より良く走る体を作るために、意識して食べるものに気を使ったり、睡眠をとるようにしたりと生活習慣を整えるようになる人が増えるそうです。
となれば、免疫力アップでウィルスに耐えうる体づくりという点でも有効でしょう。
メンタル面での効果は、今回のような有事、そして最近耳にするようになった「新しい生活様式」に向けて、冷静に考え、対応する能力も身につくと考えられます。
本では、「仕事上への効果を中心に、ランニングの恩恵について考えてみたい。」とありますが、そのまま、「新しい生活様式」への変化にも活用できると私は考え、本文より抜粋したいと思います。
①主体性
②自己マネジメント能力
③タイムマネジメント能力
④高いセルフイメージ
⑤高い目標達成能力
⑥逆境を克服する力
⑦発想力
⑧集中力
⑨人間関係を良好にする力
個人としては、今のところ、在宅勤務で通勤がなくなったことによる運動不足の解消や、急速なライフスタイルの変化により、こまめな気分転換が必要になっており、体力維持にプラスして、屋外を走ることがとても役に立っています。
ランナーズハイはまだまだ先かと思っていましたが、慣れてきたコースでは、少しずつ走ることに集中できるようになってきました。
信号がないけれど車の往来があるところ、といった気をつける場所が分かってきたからです。
試行錯誤しながらも、もうすぐ2ヶ月になる私のランニング。
距離は1回5〜6㎞。
1日おきだったり、2日おきだったり、ランニングと言いつつ部分的に歩くこともあり、あまりキツイしばりをつくらずに続けています。
気候が良い時期に始められたのも、良かったと思います。
これから暑い夏、寒い冬に外をランニングするときに、果たして私はどう工夫してうまく続けていけるのか。
ジムが再開した時に、元のようにジムで走るようになるのか。
ランニングに対して自分がこれからどう向き合っていくのかも、関心事の一つです。
思いがけず屋外でランニングを始めることになった人へ、おすすめしたい一冊。
この本は「外を走る」ことについて、多くの示唆をあなたに与えてくれるでしょう。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。