庭園から六本木ヒルズが見える根津美術館の庭園。
まさに「都会のオアシス」という言葉がピッタリです。
この庭園が1年でいちばん注目されるのは、5月にカキツバタが咲く時期。
もちろん私もカキツバタの時期は大好きですが、今回はせっかく来たので、冬の庭園も散策してみることにしました。
庭園入口。竹ぼうきのような細い竹で作られたものかな?陽射しを吸って、暖かい雰囲気。
石の道。ところどころ作られた模様が、幾何学的で目にとまる。
つくばい。庭園にはいくつもの、つくばいがあります。「コンッ!」という甲高い獅子威しの音が響き渡るのも、風情だなぁ。
池に鯉がいることに気づきました。何度も来てるのになぁ。
常緑樹が多いので、冬でも緑が多い庭園。春や夏の鮮やかさはなく、しっとり落ち着いた緑。こんな色の違いにも冬を感じます。
茶室。庭園内にはいくつもの茶室があります。木の皮を使った意匠、土の壁、小さな茶室には、多くの日本伝統の技術が詰まっているのでしょうね。
藁ぼっち、でしょうか。つくばいと同じく、庭園のそこここで見かけます。他の季節には見たことがないので、冬の庭限定かもしれません。最初見た時に藁人形かと思い、ちょっとビックリしました。
冬は地味な景色の沼。ここにカキツバタが群生で咲くのです。沼の中では春に向けて、芽吹きの準備が始まっているかもしれませんね。
こちらが、見頃を迎えたカキツバタ。毎年5月上旬〜中旬にかけて咲きます。
焦げ茶色の竹。渋くていい色。根本に敷かれた石との調和も惹かれます。
地図を見ると、あらためて広い庭園だと実感しますね。
美術館に戻ってきました。最後はこの大きな屋根。規則正しく並んだ瓦が圧巻。青空とのコントラストも美しい。建物は隈研吾さんの設計です。
美術館では、2020年2月11日まで「対で見る絵画」が開催中。複数枚を一つの作品として見る、掛け軸や屏風の作品の展示とその楽しみ方、変遷などが興味深いです。「百椿図」という様々な種類の椿とそのアレンジの仕方が描かれた綺麗な巻き物も見られますよ。
今回は、見過ごしてしまっていた庭園の細部に、たくさん気づけました。
季節を変えて時間を変えて、何度も足を運ぶと、その場所の魅力をより発見することができますね。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。