久しぶりに東京都庭園美術館へ。
こちらの美術館は庭園の改装など長いこと工事中の状態がありましたので、少しずつ以前と変化しているところがあるのは頭に入っていました。
でも実際行って見るとやはり発見があります。
これはどこの美術館でも同じ。
「発見」とは「発明」と違い、ずっとそこにあるのに自分が気づかなくて認識されていなかったモノやコト。
どんなにお付き合いの長い友人や家族でさえも、なにかの拍子に思いがけない一面を見つけるのと同じように、美術館でも行き慣れたところであっても発見はあるものです。
3つの発見とは
・こんなにピンク色の椿が綺麗だったか?
・「カフェ庭園」でランチを食べる
・コラージュが芸術になると知る
こんなにピンク色の椿が綺麗だったか?
桜がちらほら咲く時期に行きましたので目は桜の方へ向いていましたが、ふと脇をみるとズラッと並んだ椿の木。
そこに咲いているのはよく見るピンク色の椿の花です。
こんなにたくさん椿の木があったかな?そしてこの花の色や形の美しいこと。
花つきもよく量感のある花がポコポコとたくさん咲いています。
私と同じように椿に惹かれた人たちが写真を撮っています。
椿の時期に来たことがなかったのか?ただ気づかなかっただけなのか。
庭園や植栽が豊かな美術館は季節ごとに行くと植物の成長具合で景色が変わることがあるのですね。
「カフェ庭園」でランチを食べる
新館にあるカフェ。
以前、お茶はしたことがありケーキや紅茶が美味しかったのは認識済み。
しかしこの日は藁をもすがる思いで(大げさ!)ランチをするために足をはこびました。
そもそもここにランチになるようなメニューがあったかな?
実はこの日、新しく入り口にできたレストランでランチを食べようと思って行くと、メニューが売り切れでクローズでした。
まだ13時前だったのですが、週末ですし人が多く来たのでしょう。
そんな訳で「藁をもすがる思い」でカフェ庭園へ。
メニューを開くと案の定ランチになるようなものは軽食らしきものが2種類のみ。
その中の一つ、カツオのリエットのサンドイッチを注文しました。
出てきたのは小さなサンドイッチが2つ。
まだこの時点ではまったく期待していなかったのですが、一口食べると感動の美味しさ!カツオのリエットが濃厚で美味しいのです。
カツオ以外に何が和えてあるのかがわからないのですが、魚の味がしっかり出ていて美味しい。
サンドしてあるトマトも厚切りですこし酸味があり、カツオのコクをさっぱりさせる良い役割をしていました。
添えられてあるマスタードをつければ味を変えて口が飽きずに最後まで食べられます。
このメニュー、展覧会の作家である岡上淑子さんの出身地、高知県にちなんだ展覧会コラボメニュー。
そんな絡みもあり、期待していなかったランチが私の気持ちのなかでみるみる色彩をおびて素敵なランチとなったのです。
おまけに一緒に注文したアイスカフェラテも、コーヒーの苦味とミルクの濃厚さ、どちらもしっかり味わえて美味。
丁寧に作られた軽食に心満たされたひと時でした。
コラージュが芸術になると知る
すでに終わってしまった展覧会の話で申し訳ないのですが、この日見たのは「岡上淑子(おかのうえ・としこ)沈黙の奇跡」、フォトコラージュという写真を切り貼りしたコラージュ作品の展覧会です。
絵を描くでもなく、写真を撮るわけでもなく、でき上がった写真を切り取って作るものが美術品になるのか、とあらたな見解を得た展覧会。
どの写真のどこを選んで切り取り、どこに貼り付けるか。
その辺りに作家のセンスが発揮されますね。
高校生から20代にかけてファッション雑誌を毎月必ず買っていたことがあり、溜まった雑誌の整理も兼ねてスクラップブックを作っていたことがありました。
ただ貼るだけでなく、切り取ったお気に入りの箇所を工夫して貼り付けたりしていたのです。
コラージュまがいなことを楽しんでいたことを思い出し、親近感の湧く展覧会でもありました。
牧野真理子 (まきの・まりこ)
趣味からライフワークへとなった美術館巡り。30年間でのべ1,800展の展覧会を見に行き、現在も進行中。好きな美術館は上原美術館(静岡県下田市)です。