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根津美術館を訪れる際、
企画展や庭園に注目が集まりがちですが、
2階にある展示室4と6にも
見逃せない魅力が詰まっています。
この2つの展示室は、
企画展と関連しておらず
かと言って常設展とも言いがたい、
美術館が誇るコレクションの中でも
「顔」となる、
逸品を堪能できる特別な空間だと
思っています。
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「展示室4:」季節を感じる茶道具の世界
展示室4では、茶道具の展示を
見ることができます。
この展示室の特徴は、
季節に合わせた茶道具の取り合わせが鑑賞できること。
茶道に詳しくない私でも、
実際のお茶会に招かれているような
想像がふくらむ、
趣向を凝らした展示となっています。
例えば先日見た展示では
「口切り」(くちきり)について知りました。
口切りとは茶道のお正月とも言われる行事で、
初夏に摘み取った茶葉を夏の間寝かしておき
その葉を使った茶をたてるもの。

今年採れたお茶を初物と見立てると
「お正月」と言われる意味も分かります。
格式の高い道具が使われる傾向があるため
今回は特に良い道具が展示してあるとのことで
詳しくないながらも
「格式が高い道具とは、こうゆうものなのか」
と、興味を持って見ることができました。
茶道における行事と
季節感や道具の「取り合わせ」には
訪れるたびに新鮮な発見があります。

「展示室6」:紀元前の技術に驚嘆する青銅器コレクション
展示室6は、中国の青銅器の展示室です。
チケットのデザインにも使われている
2匹の羊がモチーフの器、
「双羊尊」(そうようそん)も展示されています。
これらの青銅器は紀元前11世紀頃のもので、
非常に古い時代の作品です。(紀元前です!)
祭祀に使われた青銅器や
儀式で用いられる器など、
歴史的価値もさることながら
いつ見ても堂々とした風格に
圧倒される勢いを感じています。
銅という素材の重みからくる風格、
古代の卓越した技術力がほこる
器に掘られた細密な模様に
圧倒されるのです。
銅を使って壺やたらいのような
大型の青銅器を加工する技術、
繊細な模様を彫る技術が、
何千年も前に存在していたことには
感動を覚えます。
訪れるたびに「こんな昔に、
こんな製造技術があったのか」と
驚くばかりです。
企画展とは一線を画す、美術館の「顔」となる展示
根津美術館の展示室4と6は、
企画展とはあまり関連しない
独立した展示となっています。
かといって、美術館における一般的な意味での
常設展示とも少し異なる位置づけだと思います。
美術館が「これは自信があります!」と
胸を張って見せたい作品群が集められた
空間だと思うのです。
茶道具と青銅器。
根津美術館を代表する2つの分野において、
その真価を存分に発揮している展示室なのです。
まとめ
展示室4と6には、根津美術館ならではの魅力が
凝縮されています。
ある時から、企画展と同じくらいに
この2つの展示室を見るのが楽しみになりました。
何度も足を運ぶことで
美術館の隅々まで観察をするようになった
結果かもしれません。
根津美術館を訪れる際は、
ぜひ展示室4と6にも足を運ぶのはもちろん、
キャプションもしっかり読んで鑑賞して下さい。
季節感あふれる茶道具と、
古代の技術力に驚かされる青銅器が、
きっと素晴らしい体験を提供してくれるはずです。


